産経ニュース

五穀豊穣祈り「真国御田の舞」 和歌山・りら創造芸術高生ら伝統受け継ぐ

地方 地方

記事詳細

更新


五穀豊穣祈り「真国御田の舞」 和歌山・りら創造芸術高生ら伝統受け継ぐ

 米の豊作を願う伝統祭事「真国御田(まくにおんだ)の舞」を、りら創造芸術高校(紀美野町)の有志の生徒らが22日、同町の真国丹生(にう)神社で奉納した。過疎や高齢化で担い手がいなくなり、一時期は途絶えていたが、地元の声に応えた生徒らが平成22年に奉納を復活させ、代々受け継いできた。地元住民や学校関係者、視察に訪れた海外の教育関係者ら計約50人が舞の奉納を見守った。

 真国御田の舞は、演者が農民や早乙女らに扮(ふん)し、田植えから稲刈りまでの農作業を舞で演じて五穀豊穣(ほうじょう)を祈る祭事。数百年前から同神社で旧正月に合わせて奉納されてきたという。

 平成に入ってしばらくは、地元の真国小学校の児童らが学芸会で舞を短くしたものを発表していたが、祭事としての奉納はされておらず、発表も18年の廃校に伴い途絶えてしまった。翌19年に同小跡地を活用し、りら創造芸術高校が開校した際、地域住民から復活の要望を受け、当時の1期生らが資料収集や舞の練習に努め、22年に真国丹生神社への奉納を復活させた。以降も有志の生徒による奉納が続いている。

 この日午後から同神社で奉納された舞では、面を頭上に乗せ、紋付きはかまに身を包んだ生徒2人が主役の婿と、しゅうとを演じ、掛け合いや唄を披露。豊作を願い、「まいたり、ふくのたね」と声を上げながら田に種もみをまく様子を舞ったほか、生徒が扮した牛が田の水の冷たさに驚いて暴れ出す一幕も。早乙女役の生徒らが、おはやしで田植えや稲刈りを演じるなど約30分にわたる奉納が終わると、住民や学校関係者らから温かい拍手が送られた。

 婿を演じた同校3年の東(あずま)慎太朗さん(18)は「何百年もの歴史がある伝統芸能なので、せりふを覚えるのが大変だった。先輩や地元の住民から受け継いできたものを、住民の前で演じられてうれしい。1年生の時から授業で研究し続けてきたかいがあった」と笑顔で話し、「後輩たちには、伝統を途絶えさせず、より一層地域に定着させてほしい」と力を込めた。

 オーストリアから視察に訪れた公務員、クリスタ・ツォーバニッグさん(60)は「とても伝統的な舞や神事を見ることができてうれしい。この伝統が次々と新しい世代に受け継がれてほしい」と話した。