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社殿再建や故郷再生へ一歩 安波祭で7年ぶり「田植踊」 福島

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社殿再建や故郷再生へ一歩 安波祭で7年ぶり「田植踊」 福島

 ■浪江・●野神社

 東日本大震災の津波で社殿が流され、宮司らが犠牲になった浪江町の●野(くさの)神社で18日、豊漁と海の安全を祈る「安波祭(あんばまつり)」が開かれ、7年ぶりに伝統の「田植踊」などが神前に奉納された。現在、神社は仮の社が建つだけだが、関係者は「今日がスタート」と、社殿再建や故郷の再生に向け、決意を新たにした。(内田優作)

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 「安波祭」は江戸時代から続く伝統行事で、毎年2月に行われている。震災後は福島市の仮設住宅で行われてきたが、昨年3月の避難指示解除を機に、神前への奉納を再開することにした。

 この日は、●野神社から約4キロ北西にある初発神社の田村貴正宮司(43)が祝詞をあげ、下神明天祖神社(東京都品川区)の神職が雅楽を披露した。雅楽は5年ほど前から、復興支援として、仮設住宅での安波祭のなかで披露されるようになったという。

 さらに、獅子舞の神楽、9人の女性が豊作を願う「田植踊」を奉納した。踊り手の1人で、仙台市青葉区の大学生、柴綾花さん(20)は神社がある請戸(うけど)地区出身。震災前から踊っており、7年ぶりの地元での神事に「再びこの地でできることに、うれしい気持ちでいっぱい」と喜んだ。

 震災前に同地区に住んでいた相馬市中村の女性(78)は「津波の犠牲になった宮司さんのことを思い出して、涙が出そうになった」と、しんみり。

 神社は震災の津波で、宮司と禰宜(ねぎ)が犠牲になり、社殿も流失。平成24年には仮の社が置かれたが、町が進める復興計画との関係もあり、同じ場所での再建は不透明な状況だという。

 神事を取り仕切った田村宮司は「一歩一歩前進して神社を再建させたい。この神社をなくしてはいけない」とした上で、「神社をここで再建するのが関係者の意向だ」と力を込める。

 氏子総代の渡部忍さん(68)も「行政と話し合っている。ここがだめでも、●野神社は残したい」と話す。

 震災前には、海に入ってみこしを担ぐ「荒波渡御(とぎょ)」の神事もあったが、みこしが流されたことや人手不足があり、再開できない状況が続く。だが、7年ぶりに再開された神事は、故郷を取り戻すひとつのきっかけになりそうだ。

●=くさかんむりに召