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【分析県予算案 未来への投資】(下)婚活、子育て…課題尽きず 埼玉

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【分析県予算案 未来への投資】
(下)婚活、子育て…課題尽きず 埼玉

 「婚活イベントの補助金だけでは、結婚を希望する未婚者を後押しできなかった」

 県少子政策課の企画・子育てムーブメント担当の浪江美穂主幹は、これまでの婚活イベント支援策を振り返る。平成30年度一般会計当初予算案では、市町村や企業と連携し結婚相談を行う「SAITAMA出会いサポートセンター」の開設に3300万円を計上。結婚希望者に対し理想の相手を人工知能(AI)が提案するシステムを開発し、相談員も配置して出会いを支援する取り組みだ。

 人口減少や少子高齢化への対策が急務となっている埼玉県。同予算案では10年先、50年先、100年先を見据え、少子化対策や女性、シニアが活躍できる施策に重点的に予算を配分した。

 「結婚・出産・子育ての切れ目のない支援が完成する」。13日に県庁内で開かれた同予算案の説明会見で、上田清司知事はこう見えを切った。

 未来を支える子供を増やそうと、県は29年度から不妊に関する総合的支援策「ウエルカムベイビープロジェクト」を実施。従来の早期不妊治療費に加え、30年度からは不育症検査費の助成(100万円)も始める。

 同支援策では、女性向け健康情報サイト「ルナルナ」を運営するエムティーアイ(東京都)と連携協定を締結している。同社担当者は「避妊について知る機会は多いが、妊娠について知る機会は少ない。正しい知識を知り、自分の体について知った上で、それぞれ子供をつくるためにどう取り組んだらいいか考える必要がある」と指摘する。

 「もっと早く妊活すればよかった」「学校でも不妊について教えてほしかった」。昨年11月、県が同社と実施したセミナーでは、参加者からこんな声が寄せられた。県は普及啓発の重要性を再認識し、高校や大学での出前講座の回数を増やすことにした。高校2年生に妊娠や不妊について、まとめた冊子を配布するなど若い世代の知る機会を充実させる。

 深刻化する待機児童問題に対応し、受け入れ人数を7500人拡大(23億6400万円)する。ここで課題となるのが保育人材の確保だ。

 「正直厳しい。一番は賃金。川1つ越えた東京都と全然違う。残業を削減し、有給を取得しやすくするなど働きやすさを重視してなんとか確保している」と漏らすのは、川口市にある保育園の園長。28年度に県内の保育士養成校を卒業した約2千人のうち、県内の保育所に勤務したのは3割弱だ。

 県は潜在保育士の掘り起こしなど保育人材の確保(5億5900万円)に力を入れる。県少子政策課の渡辺隆弘主幹は「例えば子育てで退いていた方で朝や夜間だけなら働いても良いという方がいれば、そうしてもらう。一人一人に合った働き方をしてもらいたい」と話す。

 少子高齢化による人手不足に対応するには、シニアの活躍が欠かせない。このため、県は30年度にシニア向けの小規模起業を支援する新規事業も展開する。産業労働部シニア活躍推進課の石井直人主幹は「これまでの会社経験を生かし、新たに起業して力を発揮してもらいたい」と話す。

 ニッセイ基礎研究所の土堤内昭雄主任研究員は「人口減少や少子高齢化は構造を変えることはできず、さまざまな施策を打ち、緩やかにするしかない」と語る。課題が山積する県の未来への投資に終わりはない。

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 この企画は、黄金崎元、川上響が担当しました。