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退避計画、待ったなしの課題 壱岐・対馬フェリー真崎社長「ピストン輸送を検討」

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退避計画、待ったなしの課題 壱岐・対馬フェリー真崎社長「ピストン輸送を検討」

半島有事へ危機感を抱く壱岐・対馬フェリーの真崎越郎社長 半島有事へ危機感を抱く壱岐・対馬フェリーの真崎越郎社長

 朝鮮半島有事を想定した在韓邦人の退避計画が定まらない中、壱岐・対馬フェリー(福岡市中央区)の真崎越郎社長(65)は産経新聞のインタビューに応じ、「退避計画は喫緊の課題だ」とした上で、日韓の国境海上までフェリーを出し、ピストン輸送で対馬などに避難させる手順確認を進めていると明らかにした。

 朝鮮半島の緊張は、高いままです。万一を想定し、邦人退避の計画は、待ったなしの課題です。

 わが社は福岡・博多港と、長崎の壱岐、対馬を結び貨物フェリーを運航しています。その関係もあり、国民保護法に基づき、武力攻撃事態など有事において、国民の避難や物資輸送に協力する機関として、福岡、長崎両県から指定されています。

 想定される半島有事について、自治体から具体的な指示はありません。それでも、準備は急ぐべきだと考えます。

 「フェリーつばさ」「みかさ」の2隻を、有事に出動させる方向で検討しています。

 フェリーつばさは通常、真夜中に博多港を出発し、対馬の厳(いづ)原(はら)港に午前4時10分に到着。午後3時に博多に向けて出港します。みかさも同じようなスケジュールで、博多と壱岐の芦辺港を結んでいます。

 この厳原と芦辺で待つ10時間ほどを使えば、釜山まで船を出し、対馬との間を往復するのは可能だと確認しました。通常業務に支障もありません。

 このアイデアを今後、国土交通省九州運輸局に提案します。

 2隻は貨物船扱いなので、12人までしか乗せられませんが、旅客船に切り替えれば、数百人規模で乗せられます。船舶安全法をクリアするため、必要な救命用具や救命ボートを自前で準備します。

 また、現状は内航船の免許なので、海外である釜山に行くには、海上運送法に基づき、免許変更を国土交通省に届け出し、受理されなければなりません。この切り替えに1カ月程度はかかります。有事の際には間に合わないかもしれない。国内法の壁があるのです。

 有事となれば、船が北朝鮮の潜水艦の攻撃対象になる可能性もあります。海員らの組合も反対するでしょう。私は30人の船員の命を預かる身です。

 それでも、いざというときに、半島にいる日本人を見過ごすことはできません。国から要請があれば、乗務員に危険手当を出すなど対応し、釜山まで向かう覚悟は共有できています。

 ただ現実的には、民間船が釜山港まで行くのではなく、自衛隊や海上保安庁の船舶が、釜山などで邦人を乗せることになるでしょう。私たちの船は韓国との国境線近くまで行き、自衛隊や海保の船舶から邦人を受け取り、対馬の比田勝(ひたかつ)や厳原、博多にピストン輸送する形になると思います。

 日本は、平和ボケしています。有事対応は国のオペレーションで行われます。それだけに、国や自治体の指示を待つしかないのかもしれませんが、個別の備えも、北朝鮮に対する抑止につながると考えます。

 フェリー業界も挙げて目の前にある危機にしっかりと備えておくべきです。

 有事では、超法規的措置がとられる可能性も、否定できません。政府には、有事に必要な関係法令や行動基準の整備を急ぐよう、お願いしたい。