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成田空港機能強化 恩恵の「格差是正」求める 横芝光、多古両町が要望書

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成田空港機能強化 恩恵の「格差是正」求める 横芝光、多古両町が要望書

 第3滑走路新設や夜間早朝の飛行制限緩和などの成田空港の機能強化について、多古町や横芝光町の関係者が23日、県や成田国際空港会社(NAA)などを相次いで訪問。要望書を手渡した。両町は昨年12月に骨子案が示された県の「成田空港周辺の地域づくりに関する『基本プラン』」に具体的な騒音被害対策や地域振興策を盛り込みたい考え。背景には、両町とも空港の機能強化は賛成だが、その恩恵に格差があるという不公平感が根強く、調整は今後も難航しそうだ。

 ◆「納得できる対応を」

 「地域が納得できる対応をいただきたい」-。この日、県幹部に要望書を手渡す際、横芝光町の住民からなる「横芝光町航空機騒音等対策協議会」の佐久間和夫会長(74)は強い口調でこう切り出した。

 同会の要望書は、成田空港の機能強化策を「航空機騒音と落下物に悩まされる等のデメリットばかりが目立ち、メリットの見いだせない状況」と批判。さらに「成田空港の『南北間格差』がさらに生じるような懸念もある」として、道路整備等の地域振興策を強く求めた。

 佐久間会長は「空港に勤務する人も多い。現状では町から空港へのアクセスが不便なのでそのための道路整備は必要」と訴える。要望書を受け取った県総合企画部の遠山誠一部長も「(地域振興策は)周辺地域にくまなく恩恵を波及できるものにしたい」と応じたが、この日は具体的な中身の議論には至らなかったという。

 一方、「東西格差」に言及するのは、多古町の菅沢英毅町長だ。昭和53年の空港開港以来、空港東側地域と西側地域では大きな格差が生じているとして、「東西格差是正には地域振興策が必要不可欠」と、遠山部長に対応を訴えた。

 同町の要望書では、NAAが周辺自治体に配分している成田国際空港周辺対策交付金制度の見直しや防音対策の寝室の内窓設置の対象拡大などを求めている。

 菅沢町長は一連の要望活動後、報道陣の取材に応じ「振興策として市町が自主的に使える交付金を確保した上で、騒音対策などの基本的な事項については別枠で事業費を捻出していただきたい。空港周辺の道路網整備や企業立地についても早く推進して、地域が将来の方向性を描けるように示してほしい」と要望の狙いを明かした。また、要望書を受け取った国や県の担当者の反応については「法律が前提だとは言いながらも、地域の要望に対する改善策を十分に話し合おうという雰囲気になったと認識している」と手応えを述べた上で、「早く具体的な方向性を示し、地域の人に納得していただけなければ空港の拡張を含めた地域振興策の推進はできない」と話した。

 ◆騒音や落下物被害

 両町が「南北格差」「東西格差」という言葉で地域振興策による格差是正を求めるのは交付金に加え、空港立地による固定資産税収入の恩恵を受ける地域と騒音や落下物の被害が大きい地域の考え方に大きく差があることが背景にある。

 昨年10月に千葉銀が示した人口に関する試算でも、成田空港の北側に位置する成田市や西部に位置する印西市は人口増が当面続くの対して、横芝光、多古両町が平成7年をピークに減少に転じており、こうした状況を裏付けている。

 県の地域振興策は今年度中に原案がまとめられる見通しだが、その内容によっては、周辺自治体の反発が強まる懸念もある。国際空港間競争に勝ち抜くためのスピーディーな機能強化と「地域住民の理解」の両立に向け、5月に開港40年を迎える成田空港の未来に向けた舵取りは困難な局面を迎えている。