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九州・沖縄でインフル猛威 気温低下や気候が原因か 体調管理など予防の徹底を

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九州・沖縄でインフル猛威 気温低下や気候が原因か 体調管理など予防の徹底を

 今年もインフルエンザが猛威を振るう。国立感染症研究所(東京)によると、都道府県別の1医療機関当たりの患者数(8~14日)で、九州・沖縄は宮崎の52・83人を筆頭に、全国のワースト5を独占するほど、患者が多くなっている。なぜこれほど九州で流行しているのか、その謎に迫った。 (山口支局 大森貴弘)

 ◆ワースト5独占

 感染症研究所の集計によると、患者数は宮崎に続き、2位の福岡県(41・58人)、3位の大分県(41・21人)、4位の鹿児島県(40・58人)、5位の沖縄県(40・23人)の順に多い。全国の平均は26・44人だった。

 大分県衛生環境研究センター(大分市)などによると、インフルエンザは例年は1月下旬から本格的に流行し始める。

 だが、今年度は1カ月ほど前倒しで患者が増えだした。

 しかも、感染力は低くても、消化器症状を起こしやすいとの特徴を持つB型のウイルスを検出した感染者が多い傾向が見られる。

 例年ならば、感染力の強いA型が大流行を引き起こした後、B型の患者数のピークが後を追うようにやってくる。

 しかも、感染者数はA型の10分の1程度にとどまるはずが、この冬は違った。

 同研究センターの成松浩志専門研究員は「今後の分析を待たなければならないが、B型のウイルスが何らかの形で変異したのかもしれない」と述べた。

 では、なぜ九州で感染が蔓(まんえん)延しているのか。

 インフルエンザの流行には、気温や湿度、人の移動といったさまざまな要素が絡み合う。

 福岡管区気象台によると、例えば福岡市は12月の平均気温が7・4度で、平年の8・9度を下回った。

 全国ワーストだった宮崎県などによると、気温が低下すれば、それだけ免疫力が弱まり、感染が広がった可能性があるという。

 九州の気候にも理由はありそうだ。

 ある感染症の専門家は「インフルエンザは人の移動でうつる。例えば、北国だと大雪で家の中にじっとせざるをえないが、九州の冬のように、寒くても、からりと晴れる日が多ければ、人混みへ外出する機会が増える。それが、かえってウイルスを持ち帰りやすいというのもあるだろう」と指摘する。

 ◆海外にも要因

 海外にも一因があるようだ。

 国立感染症研究所は昨年夏、香港などアジアの亜熱帯地域で、インフルエンザが流行したとの情報を得た。同じ亜熱帯地域に含まれる沖縄でも流行していたのを確認していた。

 同研究所の担当者は「夏の流行は、その年の冬の流行の先駆けとなる場合がある。世界的な流行状況の変動もふまえ、原因を特定する必要がある」と語る。

 インフルエンザのウイルスは、一般的には人と人との接触でもたらされるといわれる。

 特に九州・沖縄には海外からの観光客も多い。それだけに、水際対策も不可欠となる。

 ただ、法務省によると、空港や港で季節性のインフルエンザに特化した形で体温を測ったり、聞き取り調査をするといった対策は十分には取られてはいないのが実情だ。

 ◆福岡で警報発令

 山口県立大の家入裕子講師(感染防止教育)は、手洗いや体調の管理といった予防の徹底を求める。

 「今冬の流行のピークは2月下旬まで続く。飛沫(ひまつ)感染が多いので、外出する際には必ずマスクを着用し、家でも、ウイルスの飛散を防ぐため加湿器を使い、定期的に換気を心がけてほしい」と呼びかける。

 福岡県は19日、患者数が警報レベルを超えたとして、この冬初めて県全体に向け「インフルエンザ警報」を出し、注意を促した。