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素朴な味に人気「九州パンケーキ」 地元農産品にこだわり 宮崎

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素朴な味に人気「九州パンケーキ」 地元農産品にこだわり 宮崎

 宮崎市の食品販売会社が手掛ける九州や沖縄の素材にこだわったパンケーキが、素朴な雑穀の味わいを楽しめると、好評だ。大手サイトのランキング評価でも上位に入るなど人気に火が付き、海外進出を果たした。良質な農産品を作る農家と協力し、九州一円で農業振興にも一役買う。

 ■危機感で世界へ

 「ふわふわで甘いケーキが定番と言われる中、正反対のものを作ったんです」。

 九州や沖縄の黒米や小麦、サトウキビなどで作った「九州パンケーキ」を商品化した「一平」(宮崎市)の村岡浩司社長(47)はこう力説する。

 調味料など何も付けなくても食べられるように素材の味を最大限に生かし、平成24年に商品化にこぎ着けた。途端に、もっちりした食感がヒットにつながった。

 考案したきっかけは、22年に宮崎県で発生した口蹄(こうてい)疫だった。家畜の移動制限や風評被害で、県内経済は大きなダメージを受けた。

 その後も、新燃岳の爆発的噴火や鳥インフルエンザが追い打ちを掛ける。

 村岡氏は「会社がつぶれるのでは、という危機感があった。復活するには、世界を相手にするビジネスを展開しなければ、ダメだと思った」と振り返る。

 たどり着いたのが九州という地域へのこだわりと、当時、東京などで人気が出ていたパンケーキだった。

 国内販売を経て、26年には台湾に初めて、海外出店を果たした。シンガポールを含め、カフェ計3店舗で提供する。その勢いで、米国でもパンケーキ粉の販売を始めた。

 村岡氏は「今は、世界で、メッセージ性のある商品が求められている」と手応えを感じている。

 ■生産者と一緒に

 九州パンケーキの躍進は、材料供給を担う生産者にも好影響をもたらす。

 松井晃一氏(30)は、宮崎県綾町で、アイガモ農法による無農薬の発芽玄米を年間に約10トン出荷する。松井氏は「コメを粉にしてパンケーキにするという発想はなかった。年々、需要が増え、生産が追いつかないくらいです」とうれしい悲鳴を上げる。

 村岡氏は「生産者と一緒にビジネスを作るんだ」と九州中を駆け回る。各県の生産者が品質を重視している黒米や、もちきびなどを見つけ出した。

 九州産の果物をふんだんに使ったジャムや、野菜入りのパンケーキも開発した。さらに地元食材の魅力を掘り起こそうと、その先の戦略も練り始めた。