産経ニュース

望郷の思い絵に込め 奄美大島で来春、ハンセン病入所者作品展

地方 地方

記事詳細

更新


望郷の思い絵に込め 奄美大島で来春、ハンセン病入所者作品展

鹿児島県・奄美大島での展示会で披露される絵画と蔵座江美さん 鹿児島県・奄美大島での展示会で披露される絵画と蔵座江美さん

 国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(熊本県合志市)で亡くなった入所者2人の絵画が来春、故郷の鹿児島県・奄美大島の展覧会で披露される。国のハンセン病隔離政策によって、かなわなかった望郷の思いが絵筆に込められており、主催者は「本人に代わり、絵だけでも里帰りさせたい」とする。

 展覧会は「ふるさと、奄美に帰る」。同園の絵画クラブ「金陽会」のメンバー10人の油絵など約70点が展示される。うち約半数は、奄美大島出身の大山清長さん(享年92)と奥井喜美直さん(享年75)の作品だ。2人は故郷を追われるようにして入所し、奄美の地を再び踏むことはなかった。おぼろげな記憶を頼りに、島の風景や色鮮やかな魚を描いたという。

 金陽会は昭和28年に発足。メンバーの多くが既に亡くなったが、850点以上の作品が残る。

 「彼らの生きた証しを後世に伝えたい」。保存活動に取り組む福岡市の一般社団法人「ヒューマンライツふくおか」などが展覧会を企画した。同法人の蔵座江美さんは「彼らの苦難を絵が教えてくれる」と話した。

 金陽会で現在もただ一人活動する吉山安彦さん(88)は「2人も喜んでくれるだろう」と語った。

 展覧会は来年3月10日~5月13日、奄美文化センターなど島内3ケ所を巡る。晩年を奄美大島で過ごした日本画家、田中一村が描いた島内にある療養所の入所者の肖像画も初めて展示される。

 主催者側は、絵の輸送費や会場設営に必要な経費200万円を来年1月14日まで、インターネットのクラウドファンディングで募っている。