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【年の瀬記者ノート 青森発】「アウガ」商業施設に幕 市役所の窓口機能 起爆剤期待

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【年の瀬記者ノート 青森発】
「アウガ」商業施設に幕 市役所の窓口機能 起爆剤期待

 長年、青森市政を揺るがしてきたJR青森駅前の複合商業施設「アウガ」の店舗部分が紆余(うよ)曲折を経て2月28日、16年の歴史に幕を閉じた。来年1月4日に「市役所駅前庁舎」として生まれ変わり、市は市民の利便性向上と中心商店街活性化の起爆剤として期待を寄せるが、閉庁日の週末の集客力を図ることがにぎわい創出の根本的な対策だと思うのだが果たして…。(福田徳行)

 「来年1月までにアウガに市役所の総合窓口機能を開設するめどが立った」

 小野寺晃彦市長は今年1月の臨時記者会見で、アウガの1~4階に一部機能を移転する方針を明らかにした。同時に、アウガを運営する第三セクター・青森駅前再開発ビルの処理をめぐって、市が保有する最大17億5389万円の債権放棄と三セクの特別精算などを打ち出した。

 ◆“負の遺産”の対応

 アウガの再建策をめぐって、抜本策を打ち出せないまま引責辞任した鹿内博前市長に代わって昨年11月に就任した小野寺市長は、新たな街づくりを市政の柱に据えた。長年、“負の遺産”だったアウガ問題への対応は、まさに市政の「一丁目一番地」の課題だった。

 市は10月から順次、移転を進めており、最終的にアウガに勤務する職員は1千人規模と見込まれている。駅前商店街関係者で組織する「青森市まちづくりあきんど隊」によると、職員を含め1日2千人以上が駅前庁舎に出入りすると試算。すでに、中心商店街を訪れる機会の創出を図るための企画を始めるなどの取り組みを進めている。

 ◆週末の集客力課題

 こうした関係者の取り組みは重要だが、真のにぎわいを図るためには閉庁日の週末の集客力にかかっているのではないかと思う。

 用事で週末に八戸市や弘前市に行く機会があるが、両市ともに土・日曜日の商店街は若者を中心ににぎわい、活気に満ちあふれている。翻って、青森市はといえば、青森駅前からのメインストリートは閑散としている日が多い。「青森駅に降りて人が歩いていないことにいつも驚く」とは旧知の知人の素直な感想だ。

 「土・日は市役所が休みなので今までと何も変わらないのではないか」とはある女性店員(34)。別の男性店主(56)は「ハコモノで人を呼ぼうとするのはアウガで懲りたはず。既存の商店を核とした街づくりをどうするのか、根本的な問題に取り組まないと同じことの繰り返し」と手厳しい。週末のにぎわいこそが購買力を高め、活性化につながると思うのは短絡的だろうか。

 ◆郊外型店舗と差別化

 アウガは生活に必要な施設を中心部に集約させる「コンパクトシティー」のモデルケースとして全国から視察が相次ぎ、注目された。最盛期には年間約600万人の来場者を数えたが、郊外型大型店の進出によって次第に業績が低迷、破綻に追い込まれた。

 少なからず人が集う場所に行政機能を移すこと自体に異論を唱えるつもりはないが、何か小手先の手法と映るのは自分だけだろうか。「魅力ある商店街作り」と言葉で表現するのは簡単だが、最も難しい課題でもある。魅力の捉え方は千差万別。まして、広い駐車場があり、1カ所でほぼ完結できる郊外型店舗といかに差別化を図っていくか。昔からの地元商店の“ぬくもり”もキーワードになるかもしれない。

 中心市街地の空洞化は地方都市が抱える共通の課題だ。超高齢化社会、人口減少が急速に進む中、地域経済の根幹を支える既存の中心商店街に人をいかに取り込むか、そのためにどのようなことが必要なのか。官民が連携して街作りを含めた振興策を真剣に考えなければ消費者はますます大手資本の郊外に流れ、中心市街地は衰退の一途をたどるのは自明の理だ。

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 東北6県で日々取材にあたる記者が、この1年を振り返ります。

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【用語解説】アウガ

 平成13年1月、青森市の中心市街地活性化を目的にJR青森駅前にオープン。総事業費は約185億円で、市の第三セクター「青森駅前再開発ビル」が運営。地下に生鮮市場、1~4階が商業施設、5~9階は市民図書館などの公共施設。郊外型大型店の進出などで客足が減少し、27年度決算で約24億円の債務超過に陥り、事実上の経営破綻状態に。市が三セクの解散方針を決定、28年10月に鹿内博前市長が引責辞任。1月、小野寺晃彦市長が来年1月に市役所の窓口機能の移転を表明。2月末で、商業施設としての歴史に幕を下ろした。