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今治の「蟹工船」実業家・八木亀三郎邸宅など資料館として来春開館

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今治の「蟹工船」実業家・八木亀三郎邸宅など資料館として来春開館

 ■歴史資料約2000点も収蔵

 世界有数の海事都市として知られる愛媛県今治市の礎を築いた実業家、八木亀三郎(1863~1938年)の邸宅と海事会社「八木本店」が来春、同市波止浜に「八木本店資料館」として開館する見込みとなった。

 八木は明治から昭和にかけて、北洋漁業や南方貿易などを手がけ、蟹(かに)工船の先駆者として知られる。今治瓦斯(現四国ガス)を創業したほか、今治商業銀行頭取や旧波止浜村長を務めるなど政財界で活躍した。

 資料館は八木が経営した八木本店と旧邸宅で構成され、大正7年に建築された。敷地面積約4200平方メートル、建物は和風の木造2階建てで約574平方メートル。

 庭には蟹工船によって運ばれたという巨石がふんだんに配され、勇壮な山水美を醸し出している。本店の奥座敷には日本画家、横山大観の弟子で今治市出身の画家、大智勝観のふすま絵も施され、「蟹御殿」の名で親しまれたという。

 当時、県内屈指の高額納税者だった八木が和魂洋才の意匠と技術を凝らし、瀬戸内近代海事産業の創始者にふさわしい風格と美を伝えている。

 建物は八木没後の昭和14年、同市のタオルメーカー「藤高」の藤高豊作社長が購入した。豊作社長から3代目となる社長、豊文さん(68)が今年4月、リンゴ箱7箱分の八木関係資料をネットオークションで偶然、発見して購入したことから急展開。

 同市の地域史研究家、大成経凡さん(44)に調査を依頼したところ、資料は蟹工船の帳簿類、関係者からの書簡類、地図類など1946点にのぼった。

 原敬(1856~1921年)や、高橋是清(1854~1936年)ら政府要人から送られた礼状をはじめ、蟹工船の船長や工員からの手紙、樺太の小学校建設費寄付への感謝状、日露戦争の激戦地、旅順(中国大連市)で兵士が攻略直後につづった手紙なども見つかった。

 豊文さんは資料の整理や建物の整備を進め、来春には「八木本店資料館」として一般公開する見込みという。開館後、同館に常駐する大成さんは「海事都市・今治の源流を明らかに示すことができると思います」。豊文さんは「国指定重要文化財を目指したい」と話した。