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【甲信越ある記】山梨・富士川「妙蓮の滝」 迫力の激流を間近で体感

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【甲信越ある記】
山梨・富士川「妙蓮の滝」 迫力の激流を間近で体感

 本格的な登山者でなくとも、迫力ある滝と水の流れを真横で体感できる滝があると聞いて向かった。富士川町平林地区を流れる戸川の「妙蓮の滝」だ。

 地区の奥に黒壁のレトロな宿が見える。日本秘湯を守る会の会員でもある「赤石温泉」。宿主、保坂卓さん(73)は、庭に水の落ちる方向と逆に回る仕組みの逆転水車を造り、「水回通輪(スカイツウリング)」と名付けるシャレ好きなアイデアマンだ。ここから滝への道は、かつて保坂さんが所有する山の木を切り、丸太にして造ったという。今は町が遊歩道を整備している。

 保坂さんによると、滝は平安時代に山伏修行の場と伝えられ、「この世のものとは思えぬぐらい美しい」などの意味で、「妙蓮の滝」と名付けられたのではないかという。

 宿の下から山林に入っていくと、幹の直径が1メートルくらいのケヤキとスギの大木がある。赤く染められた鉄製の手すりがついた遊歩道が始まる。しばらく行くと、戸川の河原に出る。まるで青森県の恐山にある賽(さい)の河原のような感じで、石が積まれている。

 「滝を見る観光客が『積んでいくと縁起がいい』と自然に始まったようだ」と保坂さん。どれも、なかなかと倒れそうにない。ブロック玩具の「レゴ」のような積み方をしているのがおもしろい。3分ほど歩くと、川には1~3メートルの窪地を伴う段差ができ、流れも急になっている。遊歩道から直下5メートルほど。手すりから落ちれば大変なことになるから緊張が走る。スリリングなコース取りだ。

 さらに数分歩いていくと、遊歩道は勾配がきつくなり、妙蓮の滝の姿が見え、轟音(ごうおん)が聞こえ始める。遊歩道は完全に川の縁に沿い、「シュー」とも「ゴー」とも聞こえる音がどんどん強くなってくる。

 遊歩道が行き止まりとなり、落差約20メートルの妙蓮の滝が眼前にあった。「龍神(りゅうじん)伝説」が一部で注目され、最近は若者のパワースポットとして人気だと保坂さんは話す。

 「修行僧が龍を守り神にしようとこの滝に呼んだという伝説があります。冬に水しぶきが岩で凍り、龍のような形になったのを見たことがある」

 滝から赤石温泉に戻る。残念ながら、今月から4月までは冬期休業。それ以外は土、日曜だけ日帰り入浴も可能だという。露天風呂は保坂さんの手作り。森に囲まれ、鉄分の多い鉱泉が緊張感と足の疲労を取ってくれるだろう。 (昌林龍一)

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 ■妙蓮の滝 富士川町平林3243先。拠点となる赤石温泉へは、JR身延線市川大門駅からタクシー約50分。中部横断道の増穂インターチェンジからは約40分。滝壺には、ここから遊歩道を約10分。観覧無料。温泉の近くに乗用車5台分の駐車場がある。問い合わせは富士川町産業振興課(電)0556・22・7202。