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遊佐町、クロマツ砂防植林存続へクラウドファンディングで寄付集め

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遊佐町、クロマツ砂防植林存続へクラウドファンディングで寄付集め

 日本三大砂丘の一つ、庄内砂丘の北端。南北約10キロにわたる砂防林のクロマツがマツクイムシなどの食害で枯れ、衰弱している。このため、遊佐町は、クロマツの砂防植林事業を存続していくため、ガバメントクラウドファンディング(GCF)による寄付集めを始めた。「多くの皆さんからの厚意が何よりも力になる」(同町)。集まった寄付は、虫の駆除や防虫、苗の代金に充て、クロマツ林を復活していくという。(柏崎幸三)

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 日本海に面する遊佐町は、北端に東北地方では2番目に高い鳥海山がそびえる。冬になると強い季節風が吹き荒れ、地吹雪にも見舞われる。海岸に車を止めておくと、飛び砂が車の塗装を傷付けるほどの激しさで、海岸地域では家が砂に埋もれ、移転を余儀なくされた世帯もあったという。

 こうした飛び砂の被害を減らすには植林しかないと、宝永4(1707)年、庄内藩は植付役を設け植林事業を始めるが何度も失敗。この救難に身をささげる人を探したところ、酒田の造り酒屋の佐藤藤左エ門、藤蔵の父子が私財をなげうち、救世済民事業として植林にあたると名乗りを上げた。藤蔵は、マメ科のネムノキを先に植えてからクロマツを植えれば、激しい飛び砂があっても根付くことを見つけ、植林事業は進んでいったという。

 また、藤蔵は「一枝折らば我が一指を切れ、一本伐らば我が一手を断て」というほどの厳しさでクロマツ林を育成、「遊佐の財産」として受け継がれてきた。だが近年の高温少雨でマツクイムシなどが大量発生。年間約1万本のクロマツを伐採するほど被害は拡大、遊佐町は毎年多額の費用をかけ駆除を進めてきた。

 遊佐町は今年度、町の財産であるクロマツを未来に受け継ぎ、町の景観を守るため、トラストバンク(東京)と共同で目標金額100万円のGCFを開始した。一般的には目標額に達しないと返金されるが、GCFは目標以下でも寄付はクロマツの保全事業に充てられるという。町産業課の池田尚彬主事補は「先人たちが町を守るために大切に育ててきたクロマツ。寄付額よりも多くの人からの励ましや応援が何よりも力になる」といい、2千円以上の寄付をした人には、特製のボールペンとトートバックを贈りたいという。