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熊本県の農水産物輸出過去最高 28年度 前年度比12%増48億円 

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熊本県の農水産物輸出過去最高 28年度 前年度比12%増48億円 

 熊本県産の農林水産物の平成28年度輸出額が前年度比12%増の48億6千万円となり、過去最高を更新した。牛肉やイチゴが順調に伸びたほか、中国や韓国での住宅需要が木材輸出を押し上げた。昨年4月の熊本地震からの復旧・復興を応援しようという機運もあり、関係者はピンチをチャンスにしようと意気込む。 (谷田智恒)

 「熊本地震や鳥インフルエンザなど、28年度は本県の農林水産業が多くの困難に直面した年だった。私自らのトップセールスや、香港事務所をはじめ、これまでの活動で築き上げた海外との強い信頼関係が熊本を応援する動きと重なり、過去最高の輸出実績につながった」。蒲島郁夫知事は好調な輸出実績に、こうコメントした。

 熊本県は九州の他県と同様に、1次産業が盛んだ。県は「競争力ある農林水産業の実現」を掲げ、アジアを中心に海外市場の開拓に取り組む。蒲島氏は31年度までの4カ年戦略で、年間輸出額51億円を目標とする。

 実際、輸出額はここ4年、急増傾向にある。輸出額統計は、主要事業者や団体への聞き取り調査を基に、20年度から集計している。

 28年度の輸出を部門別にみると、農産物が対前年度比4%増の5億7千万円▽林産物が同30%増の18億6千万円▽水産物が3%増の24億3千万円だった。

 伸び率が大きな林産物は中国と韓国が主要な輸出先となっている。

 中国ではコンクリートを流し込む型枠用や輸送用パレットに使う低価格帯スギ材の需要が大きい。また、韓国ではヒノキ材が「健康素材」として家具や住宅内装に人気が高まっているという。米国向けに、住宅フェンス用のスギ製材品の輸出も始まった。

 輸出額が最大の水産物は、「日本食ブーム」が続く北米やアジアへの養殖魚輸出が好調だった。半面、EU(欧州連合)向けは、大幅に減少した。

 農産物は、地震で野菜や果物の選果場などが被災し、影響が懸念された。だが、関係者の努力で、選果場は秋までに応急復旧を終え、影響は限定的だった。

 輸出額の6割程度を占める牛肉は、海外での「和牛ブーム」に乗った。香港や米国向けが増加し、シンガポールやカナダへの輸出も始まった。イチゴは新品種「ゆうべに」が加わったことで、43%増えた。

 地震による熊本県内の農林水産被害額は、今年4月10日時点で約1777億円に達した。県は農業分野でも「創造的復興」を掲げる。その際には、農地の集積なども進め、競争力向上も図る。

 また、県が輸出拡大で重要視するのが、県南の八代港(八代市)だ。同港では来年4月、新しい大型ガントリークレーンが稼働する。コンテナ船の大型化に対応し、物流機能が充実する。

 八代港には、クルーズ船の寄港も増える。今年70隻以上の寄港が予定される。県は将来的には、年間200隻を目指す。

 1隻あたりの乗客を5千人とすれば、200隻では計100万人が八代港に立ち寄る計算となる。

 蒲島氏は「船内で使う食材を熊本で調達してもらい、農産物を土産に買ってもらう可能性も大きい。若い世代に、夢のある稼げる農林水産業の姿を示していきたい」と述べた。