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猪熊弦一郎の戦時下の画業に迫る 丸亀市現代美術館で展覧会

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猪熊弦一郎の戦時下の画業に迫る 丸亀市現代美術館で展覧会

 画家の猪熊弦一郎(1902~93年)が戦争とどう向き合い、画業に戦争がどのような影響を与えたのかを検証する展覧会「猪熊弦一郎展 戦時下の画業」が、香川県丸亀市の市猪熊弦一郎現代美術館で開かれている。

 戦時中の芸術は、軍のプロパガンダのために描かれていたこともあり、終戦後にバッシングを受け、長い間扱いにくい作品とされてきた。平成27年に「戦後70年」を迎えたのを機に、戦争画を改めて検証しようという動きが強まり、同館でも開館以来初となる、猪熊の戦争中の画業に焦点を当てた展覧会を開催した。

 猪熊弦一郎は40歳前後に戦争を経験した。文化視察として昭和16年に中国、また作戦記録画を描く従軍画家として17年にフィリピン、18年にビルマ(現ミャンマー)へと、3度戦地へ派遣された。

 展覧会では、猪熊が描いた作戦記録画のうち、唯一現存する横幅4・5メートルの大作『○○方面鉄道建設』(19年)を戦後初公開した。同作品は、東京国立近代美術館(東京都千代田区)が米国からの無期限貸与作品として所蔵しており、ビルマでジャングルを切り開いて泰緬鉄道を作る様子が描かれている。

 このほか、会場には従軍先での人々や風景を描いた油彩画、疎開先で描いたデッサンなども展示。その多くが、日常の当たり障りのない写実的なもので、表現が規制されていた当時の状況がうかがえる。

 また、交流が深かった藤田嗣治や佐藤敬、小磯良平ら他の作家による記録画も紹介している。

 同館学芸員の古野華奈子さんは「猪熊の足跡をたどることで、戦争の姿が見えてくる気がします。猪熊の思いを想像しながら見てほしい」と話した。

 11月30日まで。午前10時~午後6時。観覧料は一般950円、大学生650円、高校生以下等無料。問い合わせは同館(電)0877・24・7755。