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廃棄物処理システムを海外展開へ 横浜市、ベトナム・ダナンで来年度から

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廃棄物処理システムを海外展開へ 横浜市、ベトナム・ダナンで来年度から

 横浜市は、市内の民間企業の協力を得ながら長年培ってきたごみの分別から収集、リサイクルに至る廃棄物の処理システムを海外で展開する取り組みを本格化させる。まずは横浜で成功した家庭ごみ分別とその後のリサイクルの仕組みを平成30年度からベトナムで展開。この国際協力プロジェクトで、市内のリサイクル業者など民間企業の海外事業展開の橋渡しを行い、中小企業の海外進出も支援したい考えだ。(那須慎一)

 ベトナム第3の都市・ダナン市から市職員や市民を含む関係者10人が横浜を訪れ、市のごみ焼却場や最終処分場、市内の民間企業の食品や蛍光管のリサイクル施設などを視察した。

 ■両市に類似点

 「日本の廃棄物処理の仕組みがよく理解でき、ベトナムとの相違点も分かってきたので今後の取り組みに生かしていきたい」。ダナン市環境保護室副室長のファン・シ・ファイエン氏はこう述べ、横浜のごみ分別や収集に感心していた。

 ダナン市は人口約100万人で面積は横浜市の約3倍の1283平方キロメートルだが、港湾都市や国際観光都市といった都市機能のほか、互いに首都ではなく第2、第3の都市としての国内的な位置づけ、市街化に適した面積がともに300~400平方キロメートル程度で同規模であるなど横浜市と類似点が多い。

 このため急激な人口増加を1960年代以降、先行して経験している同市が進めてきた廃棄物や上下水道のインフラ整備、港湾開発、水資源の保全などの環境対策、公共交通の導入を含む街づくりなどの蓄積が、ダナン市の都市開発の参考になるのではとの考えから、両市の協力体制がスタートした。

 ■リヤカーで収集

 視察に参加したハイチョウ区人民委員会副委員長のドアン・ヌコク・サン氏は「両都市の企業同士の交流も行いたい。現地(ダナン市)の企業にも参加してもらうようにしたい」と話し、民間交流の発展にも期待を寄せた。

 ただ、トンフック町人民委員会委員長のル・シイ・スアン氏は「トンフック町では今、リヤカーで収集している状況。横浜の今のシステムに追いつくためには、かなり時間がかかる」と実態を明かす。

 実際、ダナン市でも過去に他国のリサイクル技術の導入など家庭ごみの分別の取り組みを試みたことはあるが、そのときは処理業者が結局、ごみを一緒に処理しており、住民の分別がむしろ徹底しなくなったという失敗経験ももっている。

 ■草の根ベースで

 このためプロジェクトでは、家庭ごみをしっかり分別し、それが確実にリサイクルのルートにのる仕組み作りを着実かつスピーディーに進めたい考えだ。

 横浜市の資源循環局政策調整課では「押しつけではなく、現地のニーズもふまえながら、現地で実現できる仕組みでないと意味がない。今回は市民参加、企業参加の草の根ベースの取り組み。市としては橋渡しは行うが、行政が深く関与しなくても市内の民間企業などでビジネスが回るように力を入れていきたい」と意気込む。

 大企業がごみ処理プラント導入などで援助を行う取り組みは古くからあるが、地方自治体や地元企業が持つノウハウを海外で適用できるようにする試みは、国内でも珍しいといい、今後の動向に注目が集まる。

 市では今回のような協力を含め、国際都市・横浜としての責務を海外で果たしていきたい考えだ。

                   ◇

 ■ダナン市 ベトナムの5つの中央管轄市の一つ。ベトナム中部に位置する。ホーチミン市や首都ハノイ市へは飛行機で1時間以内の距離にある。気候は雨季と乾季に別れる熱帯モンスーン気候で、2~8月が乾季、9~1月が雨季。年間の平均最高気温は約26度。ベトナムの世界遺産は中部地方に固まっており、中部観光の拠点として世界各地から多くの観光客が集まる。