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焼酎トップメーカー「霧島酒造」、世界展開へ意欲満々

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焼酎トップメーカー「霧島酒造」、世界展開へ意欲満々

 焼酎メーカー、霧島酒造(宮崎県都城市)が、日本の焼酎文化を発信する英語サイト「Shochu culture site」を開設した。焼酎の飲み方や製造工程を紹介し、海外ファンの獲得を目指す。「sake」に後れを取った「shochu」の世界展開を、業界のトップ企業が牽引(けんいん)する。 (村上智博)

 英語サイト(http://www.kirishima-global.com/cu/en/)は「焼酎の飲み方」「美容と健康」「焼酎とは?」「焼酎のルーツ」という4章立てで構成される。

 お湯割りやロックといった焼酎の飲み方や、カロリーが低く、二日酔いになりにくいといった特徴を、分かりやすく紹介している。

 さらに、14~15世紀に大陸から日本に伝わったとされる蒸留技術と、麹との出会いなど、焼酎の歴史もイラスト入りで説明した。

 今後、さらなるサイト充実を目指す。一日の疲れ(=だれ)を焼酎を飲んで解消し、一日を締めくくるという、南九州の「だれやめ」文化を紹介する動画も掲載する。

 霧島酒造は、平成2年ごろから焼酎輸出を始めた。現在は中国やベトナム、タイなどアジア圏を中心に、輸出先は約20カ国・地域に広がった。

 輸出品は、国内でも人気の芋焼酎「黒霧島」「白霧島」「赤霧島」の3銘柄がほとんどだという。28年度の輸出額は約3億円になった。

 ただ、輸出といっても、現地在住の日本人向けが多く、海外の人々に浸透したとまではいえない。

 焼酎業界全体をみても、輸出では日本酒にリードを許す。国税庁によると、平成28年に155億円を輸出した日本酒に対し、国産焼酎は14億円と約10分の1にとどまっている。

 「焼酎文化を海外に発信して、世界中に愛好家を増やそう」。1年前、霧島酒造社内で英語サイトのプロジェクトが立ち上がった。

 輸出量を増やすという社業に加え、焼酎業界トップとして、市場拡大への“責任”もある。

 帝国データバンク福岡支店によると、霧島酒造の28年売上高は、前年比10・4%増の650億円となり、2位以下を大きく引き離して独走状態となった。首位は5年連続。関東や関西で家庭向け商品が好調だった。

 ただ、焼酎・泡盛業界全体をみれば、売上高ランキング上位50社のうち、減収が26社とウイスキーやワイン人気に押され苦戦を強いられるケースも目立つ。

 帝国データバンク福岡支店の担当者は「焼酎ブームに一服感も出ている。ブランド力強化のほか、消費者の好みに合わせた商品開発や飲み方の提案が市場拡大の鍵となる」と指摘した。

 国内の人口減少を考えれば、市場拡大には、海外での認知度アップも欠かせない。日銀鹿児島支店がまとめた「焼酎業界の現状と課題~価格動向および海外展開について」では「海外での焼酎の知名度が低いほか、日本と海外の間での蒸留酒に対するとらえ方の違いなどの影響もあり、焼酎輸出は伸び悩んでいる状況にある」と分析した。

 業界のリーディングカンパニーである霧島酒造の英語サイトは、海外市場を開拓する一歩といえる。

 同社は2020(平成32)年の東京五輪・パラリンピックも好機ととらえる。中国人や韓国人向けのサイトも、年内に始める計画だという。

 広報担当の大久保昌博氏(29)は「焼酎のように食事と一緒に楽しむ蒸留酒の文化は、世界でも珍しい。この焼酎を、海外の人々にもっと知ってほしい。情報発信に今後も工夫を重ねたい」と語った。