産経ニュース

隠岐の島で竹島問題を考える講座 「領土問題をビジネスに」

地方 地方

記事詳細

更新


隠岐の島で竹島問題を考える講座 「領土問題をビジネスに」

 韓国が不法占拠を続ける竹島と古くから深いつながりを持っていた島根県隠岐の島町で、今夏初めて開かれた島根県主催の「竹島問題を考える講座」。講師を務めた県第4期竹島問題研究会座長の下條正男・拓殖大国際学部教授(日本史)は「地域資源としての竹島問題の活用」と題して話し、領土問題を生活の一部として捉えて「金もうけ」に生かすなど下條氏独特の視点で住民らに提案した。講演の主な内容は次の通り。

 ◆観光・教育コースを

 竹島には、毎年20万~30万人が観光に訪れている。隠岐の島町の観光客より多く、その数はますます増えている。隠岐諸島もそれだけの観光客を呼び込む資格があり、隠岐や島根県は、これまでと違った切り口で取り組みを進める必要がある。島根県が制定した「竹島の日」は、島根県だけが持っている特権。その活用法を考えていきたい。

 竹島問題の端緒になっているのは、江戸時代の安龍福(アン・ヨンボク)という人物だ。本国に戻り「鳥取藩主と交渉して竹島と鬱陵島を朝鮮の領土と認めさせた」と嘘の証言をした。

 そんな彼が、隠岐を2度訪れ、米子や鳥取にも行っており、その歩みを結ぶと竹島問題をめぐる観光・教育コースになる。韓国のように「独島(竹島の韓国側呼称)は俺たちのもの」と騒ぎ立てるのではなく、彼が朝鮮に帰ってどんな嘘をついたのかを静かに学び、静かに帰ってもらう。

 戦前にあった隠岐-鬱陵島間航路を復活させれば、今では高速艇に乗って数時間で行ける。竹島に上陸しなくても竹島問題を知る観光コースが作れる。

 ◆牛突きや隠岐相撲

 江戸時代、鬱陵島で漁をしていたのは、大谷、村川という米子の2つの家。アワビ漁に雇われたのは隠岐の人たちで、アシカ猟の鉄砲は鳥取藩から借り、猟師は鳥取の人たちだった。島根と鳥取が一緒になって島に渡っていたという歴史を学んでもらえる。

 鬱陵島の特産品にスルメがあるが、イカ漁の漁法は隠岐から伝わっている。島内には、石州瓦(島根県石見地方の地場産品)ぶきの家もあり、島根と鬱陵島の交流も感じられる。

 また、隠岐諸島の絶景など、このコース上には韓国人が好みそうな観光資源がたくさんある。

 隠岐で感銘を受けた素晴らしい文化に、「牛突き」と「隠岐相撲」がある。隠岐相撲は2番を戦い、1回勝った方は次の取り組みで負けることになっている。牛突きも、負けたほうの牛にトラウマが残らない程度に勝負を途中で止める。

 勝って喜ぶのではなく、負けた相手のことを考えるのが隠岐の文化。「そんな文化を持つ隠岐に属していた島を、あなたたちは一方的に奪ってしまったのだ」という思いを韓国人観光客に学んでもらうため、隠岐相撲と牛突きは外せない。

 ◆韓国に「NO」

 竹島問題を解決できない理由は、日韓両国政府の外交方針、教育に対する姿勢が全く違うからだ。日本は、今年になって文部科学省が初めて次期学習指導要領に竹島問題を盛り込んだ。韓国の場合は、2011年の時点から本格的な竹島教育を始めている。

 日本の外務省が韓国側と意見交換をしても、論争に耐えうる力は恐らくない。1998(平成10)年に日韓新漁業協定が締結され、それに伴って日韓共同管理水域が設定されたが、韓国と中国、北朝鮮の船がそこへ入り込み、日本側の漁船が入れなくなった。そんな状況を作ったのは、外務省の交渉能力がなかったからだ。

 島根・鳥取両県の漁業者が大きな被害を受け、これに憤った島根県議会が2005(平成17)年に「竹島の日条例」を可決した。そこから、島根県の“孤独の戦い”が始まるのだが、これで島根県は竹島問題を特権として得た。

 本来は国がやるべきことだったが、政府は当時、どんな反応をしたか。2005年は日韓国交正常化40周年。両国政府が「日韓友情年」として仲良くしようとしていたところだったので条例制定をやめるよう圧力をかけてきたのだ。

 しかし、島根県がそれをはね返して条例を制定。これに韓国側が大慌てした。「日本も『NO』と言えるんだ」と韓国側に認識させたのだ。

 ◆手作りの地方創生

 竹島に限らず、領土問題は精神論で戦っても、絶対に相手に勝てないし、長続きしない。そうではなく、金もうけをし、楽しみながら、領土問題に関わっていく姿勢が大事だ。毎日の生活の中に絡んでいたり、仕事として一生懸命やっていたりしていることが、領土問題の解決につながるような仕組みが作れたらいい。

 どうやって隠岐諸島を売り出していくのか、どのような魅力的な素材があるのか、そういうアイデアを地元の人たちが出し合い、一つにまとめていけば、それが地方創生につながる。

 地方創生といっても、日本政府がやるような「ばらまき型」ではなく、手作りの地方創生。そういう取り組みを考えていくとき、竹島問題をビジネスチャンスとして持っている隠岐諸島、島根県がこれをどう生かしていくか。これは、日本の新しい国づくり、地域づくりのモデルケースになり得る。

 国から援助をもらって何かを作るのではなく、そこにあるものを自分たちで生かして製品化していく。そうした取り組みに若い人たちにも参画してもらうと、彼らが中学、高校を卒業して島外に出ても、またここに住みたいという人が増えるかもしれない。

                   ◇

 今年度の「第2回竹島を考える講座」が20日午後1時半から、松江市の島根県竹島資料室で開かれる。日本安全保障戦略研究所研究員で県竹島問題研究会委員の藤井賢二さんが「韓国の主張を考える」と題し、講演する。聴講無料。問い合わせは同資料室(電)0852・22・5669。