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「地酒で乾杯」官民一体で普及へ 神奈川県内自治体で条例施行相次ぐ

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「地酒で乾杯」官民一体で普及へ 神奈川県内自治体で条例施行相次ぐ

 町の特産飲料で乾杯-。県内自治体で地域活性化と郷土愛を高めることを目的に特産の日本酒(地酒、清酒)などで乾杯を推進する条例の施行が相次いでいる。大井町は昨年11月、町内の酒造会社の地酒での乾杯を促す条例を施行し、観光PRにも活用している。官民一体となった普及活動に期待が高まる。(川上朝栄)

 町内に2つの酒蔵を持つ大井町は昨年11月、地酒のみを対象に、乾杯を推進する条例を施行。地酒の消費拡大や地産地消の推進を目指している。

 ■地元産100%に

 町が立ち上げた推進協議会は今年2月、日本酒の楽しみ方を学ぶ「日本酒セミナー」を開催し、約100人の参加者を集めた。また、自宅で日本酒を楽しんでもらおうと、陶芸家による「おちょこ作り」や、町名産のひょうたんを活用した「とっくり作り」も進めている。

 さらに町内の耕作放棄地を活用して酒米を栽培し、「地元産100%」の地酒をつくるプロジェクトも始動しており、町内の酒造メーカーも協力する構えを示す。

 「大井町の条例を参考にした」という松田町は6月、地酒だけでなく足柄茶などの飲料も対象とした乾杯条例を施行した。対象となる飲料は地ビール、ミカンジュース、スムージーなど多岐にわたる。

 町の活性化を目的に、町商工振興会や飲食店組合などが5月、町に条例制定を要望。6月議会で条例案が可決、施行された。

 町は協議会を立ち上げ、具体的な条例の推進策を検討している。具体的には8月26日に開催される観光イベントでの地酒の鏡割りなどを皮切りに、地元産飲料の普及啓発を進める考えで、「町のPRにも役立てたい」(担当者)としている。

 ■ただし法令順守で

 両町の条例では「個人の嗜好(しこう)及び意思を尊重する」としており、飲酒強制を避けることを明記している。また大井町の条例には「アルコール健康障害対策基本法その他の法令を遵守(じゅんしゅ)(順守)するものとする」との文言も盛り込まれた。

 日本酒造組合中央会によると、地酒など乾杯を促す条例は全国138自治体で制定されており、「酒造業の伝統を継承するためにも、条例制定の役割は大きい。日本酒の消費拡大に向け、さらなる広がりを期待する」としている。

 一方、県も相次ぐ乾杯条例の施行を受け、地元で愛されている酒類とツマミで乾杯する機運を高めようと、動画チャンネル「かなチャンTV」で紹介する取り組みを開始。黒岩祐治知事も「盛り上がったところで“ツマミで乾杯宣言”を行いたい」と意気込んでいる。

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【用語解説】乾杯条例

 乾杯をする際に、主に地域特産の日本酒(地酒、清酒)や焼酎を用いることを推奨する条例の総称。平成25年1月に京都市が施行させたことから、全国の自治体に広まったとされる。いずれも、地場産業の振興や日本文化への理解促進などを目的とする。