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教育界注目の「学校改革請負人」 鎌倉女子大初等部校長・高橋正尚氏

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教育界注目の「学校改革請負人」 鎌倉女子大初等部校長・高橋正尚氏

 小学校が平成32年度、中学校が33年度に新たな学習指導要領に変更されるのを前に、県内でも教育現場のさまざまな改革が求められる。こうした中、横浜市立南高校付属中学校の初代校長などを歴任し、現在、鎌倉女子大初等部(付属小学校)の部長(校長)を務め、「学校改革請負人」として精力的に取り組むなど、県内の教育の質向上に奮闘してきた高橋正尚氏(65)に多くの教育関係者らの注目が集まっている。(那須慎一)

 「いい表現だ」「かっこいい」

 小学5年生の国語の授業。4コママンガを見て、単文にして説明するという課題に対して、児童一人一人の文章をスライドで映し、先生が添削しながら、良い表現や修飾語の使い方などを評価すると、児童たちからこんな声が上がった。

 ■授業で積極的に発言

 高橋氏が校長を務める鎌倉女子大初等部では、こうした授業や取り組みが日常的に繰り広げられる。「受験を経て、一定レベルの学校に入学する児童には、プライドが高い子供が多く、仮に授業で分からないことが出てきても、自分で抱えこんでしまう傾向が強い」という。

 このため、高橋氏が取り組むのが「学校は分からないことを学ぶところ。分からないことは恥ずかしいことではない」という意識の定着を図り、各自が自己開示をして自由に学び合える環境づくりを行うことだ。全員が安心して授業で積極的に発言でき、みんなで学び合おうとする雰囲気が、豊かな人間性を育むとともに、学力の向上にとっても重要であることを学ばせる。授業では、説明する力を重視している。

 「受験対策のテクニックも不要とは言わないが、自分が身につけたことを分かりやすく説明できる能力は、いま企業が求める人材としてあげる『コミュニケーション能力の高い人間』を育てるのに有効だ」と持論を展開する。

 ■トップクラスに

 初代校長を務めた市立南高付属中では、「学力向上プラン」を策定し、同じテキストを5回繰り返すことで英語力を飛躍的に向上させる「5ラウンド方式」のいち早い導入により、現在では中3段階で、英検準2級取得率が86%にのぼる。また、医療実習や宇宙講座など実践的な体験授業を行い、公立中高一貫校の成功モデルを作り上げた。

 「学校に通う全国の子供たちに幸せになってほしい。そのために全力で協力していく」。高橋氏はこう語り、これまで県内で培ったノウハウを惜しみなく提供していく考えだ。

 高橋氏が短期間で新設の公立中高一貫校をトップクラスに引き上げるまでの取り組みなどをまとめた新書「学校改革請負人~横浜市立南高附属中が『公立の星』になった理由」(中公新書ラクレ)が出版されている。高橋氏の教育メソッドを深く知ることができる一冊で、話題を集めている。

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【プロフィル】高橋正尚

 たかはし・まさなお 昭和26年生まれの65歳。横浜国立大大学院教育学研究科修了。帝人勤務後、54年から小学校教員、61年から中学校教員、平成19年から横浜市立豊田中校長。24年、横浜市立南高校付属中学校初代校長に就任。28年から現職。