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懐かしの銀幕ポスター 鳥羽・宮瀬規矩の生家「津の国」で発見 三重

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懐かしの銀幕ポスター 鳥羽・宮瀬規矩の生家「津の国」で発見 三重

 ■昭和初期の貴重な資料

 昭和初期の鳥羽で新聞記者を務め、江戸川乱歩ら文人とも広く親交があった宮瀬規矩(きく)(1896~1971年)の生家で、遊郭として知られる同市の「津の国」から、昭和初期を中心とした映画や芝居のポスター、ちらし、雑誌などが大量に見つかり、同市の鳥羽歴史文化ガイドセンターで15日まで展示されている。昭和初期の鳥羽で、どんな娯楽が市民らに親しまれたのかがうかがえる貴重な資料となりそうだ。

 津の国は木造2階建ての建物で昭和30年代まで営業。老朽化が進み今年5月に解体されたが、それに伴い建物内を調べたところ、昭和初期を中心とした映画や芝居の広告、ちらし類868点をはじめ、映画ポスターや雑誌など大量の資料が見つかった。

 これらを保管していたという宮瀬は、映画や演劇などに関心があり、上映された映画の広告などを集めていたと推測される。宮瀬の孫、保さん(68)=愛知県豊明市=は子供のころ、一緒にポスターを貼り替えた思い出があるという。

 「昭和30年代、通りは人が多く、浴衣の人もいて、にぎやかだった」と保さん。「終わった映画のポスターと新しいのを取り換えるからついてこいといわれた。(祖父は)映画が好きだった。伊勢志摩でロケがあると、出かけていって俳優らと一緒に写真を撮っていた」と振り返る。嵐寛寿郎、長谷川一夫、田中絹代…。そうそうたるメンバーと一緒に写っている写真が残されているという。

 江崎満・鳥羽ガイドボランティアの会会長(68)らによると、昭和初期の鳥羽には3館の映画館があった。その中心だったのが朝日座。「歌舞伎も上演した本格的な劇場だった」と江崎さん。展示でも朝日座に関係したちらしや広告が多い。

 保さんは「祖父はこれらの展示物を見たら、きっと『わしの宝やで』と言ったにちがいない。昔の鳥羽にこんな楽しみがあったことを知ってもらい、鳥羽が好きだった祖父のことも分かってもらえれば」と話す。

 宮瀬規矩は今回の展示資料以外でも、江戸川乱歩や若山牧水ら著名人との手紙を残すなどしており、市文化財専門員の野村史隆さん(69)は「宮瀬規矩は鳥羽の最大の文化人と言っていい」と評価したうえで「公開された資料はいずれも昭和の鳥羽を知る貴重なもの。宮瀬規矩という人物も含めて知ってもらう機会になれば」と話している。