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【信州ワイド】タケノコ採り、なぜ道に迷う? 遭難すでに4件、長野県警が注意喚起

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【信州ワイド】
タケノコ採り、なぜ道に迷う? 遭難すでに4件、長野県警が注意喚起

 ■記者が体験

 収穫シーズンを迎えた初夏の味覚「ネマガリダケ(根曲がり竹)」。今季は収穫中の滑落や道迷いで、すでに4件の遭難が発生しており、県警などが注意を促している。信州に住んで丸3年の記者は、北信の郷土料理「たけのこ汁」のファンとなったが、タケノコ採りは未経験。なぜ道に迷うのか、どれほど熱中してしまうのか。その魅力と危険性を伝えるべく、地元の人の案内で山に入ってみた。(三宅真太郎)

                  ◇

 ◆竹藪で傷だらけ

 週末の朝6時過ぎ、ネマガリダケがよく採れるという高山村の山林に向かった。標高は1800メートル。眼下には雲海、遠くには冠雪した北アルプスが見えた。

 案内してくれるのは、この道10年以上で狩猟や山菜採りにも詳しい宮川仁司さん(60)だ。

 ヘルメットを被り、軍手をはめる。上下は長袖、長ズボンで全身を覆う。ネマガリダケはクマの好物でもある。クマ避け鈴も必須だ。

 格好の意味はすぐに理解できた。宮川さんは、高さ2メートルはあろうかという藪の中に飛び込むと、ガサガサと藪をかき分けながら進んでいった。はいつくばるように進むが、しなる枝が身体を打ち、とがった葉が頬を引っかく。気がつくと宮川さんの姿は見えなくなっていた。

 「おーい」と叫ぶと「こっちだよ」と案外近くから返事が返ってきた。

 立ち上がっても周りは見えない。声の方向に歩いていくと会うことができた。取り残されずホッとした。

 ◆夢中になり進むと…

 ネマガリダケは、チシマザサという大型のササの一種で、成長すると2メートルほどになる。食用のものは20~30センチで、探すためには地面に膝をついて目をこらさなければならない。

 探し始めてから約30分、土の中から顔をのぞかせるネマガリダケを見つけた。にんまりと1本を収穫すると、少し先にもう1本見つけた。その先にもまた1本。夢中になって進んでいくと、自分の居場所の見当がつかなくなった。

 「まっすぐ進むから迷うんだ。大きな木のような目印を見つけて、そこを中心にして周回するように進めばいいんだよ」

 宮川さんのアドバイスに従っていると、迷うことなく探せるようになった。大きな目印がなければ、大音量のラジオを置いて、その音が聞こえる範囲を歩けばいいという。

 道中では、クマの糞(ふん)を見つけた。野生の動物たちの生息域に侵入しているのは、われわれ人間の方なのだ。彼らにしっかりとこちらの存在を知らせて、出くわさないようにしなければならない。

 記者が収穫できたのは、約2時間で20本ばかりだった。宮川さんの10分の1にも満たなかった。

 ◆「声をかけあって」

 高山村などによると、村内では、平成28年までの10年間でタケノコ採りにより35人が遭難。5人が死亡し、2人が行方不明になっているという。

 宮川さんは「絶対に1人で山に入ってはいけない。複数で頻繁に声をかけあって互いの居場所を確認しながら楽しんでほしい」と話していた。

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 高山村では7月2日までのシーズン中は1人1千円の入山管理協力金を徴収している。

 問い合わせは信州高山温泉郷観光協会(電)026・242・1122。