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3年後に統合の増穂商、商品開発で伝統つなげ 6次産業化「校名を心に」

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3年後に統合の増穂商、商品開発で伝統つなげ 6次産業化「校名を心に」

 授業で地域産品を使った商品開発を続けている県立増穂商業高校(富士川町最勝寺)の3年生が、人形や日本茶を扱う「春木屋」アルプス通り店(甲斐市万才)で商品実習を行った。学校の地元以外での実習は今回が初めて。平成32年度に周辺の高校と統合・再編される増穂商。昨年の3年生は商品企画に時間がかかり、商品化に至らなかった。今年は先輩が残した“仕事”を引き継ぎ、学校の伝統を自慢の商品に託した。

 増穂商は昭和31年に開校した県立で唯一の商業高校。「春の高校バレー」で常連の女子バレー部は、モントリオール五輪(1976年)で金メダルに輝いた矢野広美さんらを輩出した。

 だが、人口減少などの影響で平成32年度、峡南高(身延町)、市川高(市川三郷町)と統合し、「増穂商」の校名はなくなるという。

 同校によると、地域特産品をアピールする商品開発を、19年から授業に取り入れている。生徒らが企画、製造や販売実習先の交渉などを一貫して行い、「6次産業化」を学ぶ。26年には、フランス、ドイツのアルザス地方の菓子「クグロフ」をヒントに、町特産のユズなどを生地に練り込み、富士山の形に仕上げた「ふじロフ」を手がけた。大きな人気を得て、翌年に「おもてなしのやまなし知事表彰」を受けた。これを含め、これまでに8つの商品を開発している。

 今年の3年生は先輩のアイデアをもとに、パッケージのデザインなどに取り組んだ。地域の農具名や地名にちなんだ「福箕餅(ふくみもち)」(100円)、洋菓子の「増すコッティ」(100円)、「増穂(ますぽ)ん」(80円)の3つを商品化した。

 販売実習は「先代が富士川町出身」という縁もあり、20日に「春木屋」で実施。約10人の生徒が参加した。試食した米ジョージア州出身の英語教師、ブレンドン・バウワーマンさん(29)は「もちが好きなのでおいしい」と笑顔をみせた。

 生徒たちは「先輩方の思いを受け継げた」(楠侑真さん)、「考えたデザインを実際の商品にして販売できたことがうれしい」(河西莉緒さん)と満足した様子。リーダーの花輪銀大さん(17)は「商品開発の活動を通じて増穂商の名を残したい。県民の心にずっととどめてもらえればありがたいです」と熱を込めて語った。