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【熊本地震から1年2カ月】梅雨迎え土砂災害に不安 危険エリア拡大、対策急務

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【熊本地震から1年2カ月】
梅雨迎え土砂災害に不安 危険エリア拡大、対策急務

地震や雨の影響で崩れた阿蘇市的石地区の山の斜面を指さす区長の山本直樹さん 地震や雨の影響で崩れた阿蘇市的石地区の山の斜面を指さす区長の山本直樹さん

 熊本地震は14日、発生から1年2カ月を迎える。被災地は2度目の梅雨に入り、地盤のひび割れなどによる新たな土砂災害の危険性も高まる。対策工事は始まったばかりで、危険なエリアも拡大。地震後の昨年の梅雨期には土砂災害犠牲者が出ており、住民らの不安は大きい。

 国、熊本県と被災市町村は今年3月末までに、地震や大雨による土砂災害被害箇所のうち、住家などにさらに危険を及ぼす恐れのある計約340カ所で緊急対策工事が必要と判断した。しかし、工事用地確保や対策事業の制度作りに時間がかかり、着手は約20件にとどまる。

 地震後に県は、土砂崩れの恐れがある土砂災害警戒区域を再調査した。阿蘇市など3市町村の74カ所を5月、特に危険性が高い「レッドゾーン」相当と判断し、指定区域を広げる手続きを進める。今年3月時点で1万8千以上のレッドゾーンがある。ゾーン内には2万3千以上の住家が建つ。

 レッドゾーンが拡大予定の阿蘇市的石地区の区長、山本直樹さん(67)は地震で自宅が大規模半壊し、地区外の「みなし仮設」へ家族と移った。地震後、自宅近くの砂防ダムに土砂がたまり、昨年の雨期には水や岩があふれた。「家族が怖がり自宅再建の方針が立たない。行政は、対策を急いでほしい」とこぼした。

 昨年、地震や雨で、県内各地で土砂崩れが発生。6月20~21日の大雨では6人が死亡し、うち5人が地震に起因する死者と認定された。県と調査する北園芳人熊本大名誉教授(68)は今年も「地震で地盤がゆるんだ状態が続いている」と警鐘を鳴らし、自治体は早めの避難を呼び掛ける。