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【Newsちば深読み】「ドラマチック四街道」まちづくり動画

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【Newsちば深読み】
「ドラマチック四街道」まちづくり動画

 ■“普通の日常”クローズアップ

 町の魅力を伝える動画といえば、観光名所や地産の名物に焦点を当てたものが思い浮かぶ。だが、四街道市のまちづくりプロジェクト「ドラマチック四街道」の作成した動画はそれとは真逆に、市民の“普通の日常”をクローズアップ。派手さのない一方、同市の素顔や日々を生き生きと過ごす市民のありのままの姿を魅力的に切り取る。等身大の市の魅力を映し出す独自の取り組みが評価され、注目が集まっている。(中辻健太郎)

 ◆「青春篇」など5種類

 同プロジェクトのホームページでは現在、市内の公共施設での活動を撮影した「いきいき篇」や、高校生の学校生活を収めた「青春篇」など5種類の動画が公開されている。

 子供たちの朝の登校風景、自転車が走る商店街、祭り太鼓の稽古、吹奏楽を練習する女子高生…。同プロジェクトが掲げる「日常こそ、ドラマチック」のテーマを体現した動画は、有名人の出演や派手な演出はない。何気ない日常を市民が楽しそうに過ごす様子が音楽とともに軽やかに流され、一こま一こまにドラマが表れている。

 「どこの町にも東京ディズニーランドのような目立つ観光施設があるじゃない。四街道はどこにでもある普通のベッドタウン。だけど、そこで過ごす何気ない日常の中に四街道の良さがある」。市シティセールス推進課、斎藤久光さん(38)はそう話す。「当たり前の日常だからこそ、守っていきたいし残していきたい。それがプロジェクトを始めたきっかけです」

 始まったのは平成25年6月。市民活動の推進などを担当していた斎藤さんが、同市在住のデザイナー、両見英世さん(35)と動画や市民らの写真で毎日を刻む「みんなでカレンダー」作りなどを並行して進めていたところ、いずれも「日常の大切さ」をコンセプトにしていたことから、「四街道で過ごす日常の良さに気付いてもらえるチャンスを増やしたい」と1つのプロジェクトに統一。ホームページを立ち上げ、動画の公開などを始めた。

 ◆広報コンで2度入選

 「最初は、当たり前のものに焦点を当てて魅力発信になるのかという意見もあった」と斎藤さんは笑う。だが、暮らしや日常を主役とした市民主体のコンセプトに徐々に共感の声が広がっていき、専門家など市内外から好評を獲得。27年には、自治体の広報を競う「全国広報コンクール」の広報企画部門で初入選し、同年度から市がプロジェクトを予算化。「町の魅力の見せ方の一つとして認められたと思えた」

 その後も、市民がフィールドワークに参加して市の良さを調査する「四街道リサーチプロジェクト」で上がった人物や店を、インタビューを通じて紹介する動画「まちのストーリー」などの企画を進め、約4年も続くカレンダーでは延べ1500組以上が登場。写真集や展覧会も開催し、ぶれずに一貫したコンセプトで続ける姿勢が評価され、今年も同部門で再入選。今月30日、第54回全国広報広聴研究大会(宮崎県)で表彰される。

 斎藤さんは「町の良さはこちらから押しつけるものじゃない。ありのままを伝え、感じ取ってもらう取り組みが大事」と話す。「今後も市民と一緒に、町の日常の良さを伝えられるコンテンツを作っていきたい」という。