産経ニュース

多頭飼育崩壊の「実態知って」 朝霞猫虐待死に専門家訴え

地方 地方

記事詳細

更新


多頭飼育崩壊の「実態知って」 朝霞猫虐待死に専門家訴え

 飼い猫を虐待し、死骸を公園に埋めたとして、朝霞市三原の20代女性が動物愛護法違反などの疑いで逮捕された。女性は相模原市南区のマンションに住んでいた当時、13匹の猫を飼育し、11匹の死骸を埋めたという。昨年11月には、深谷市の借家で猫を約100匹飼育していた50代男性が、市長を脅迫して逮捕される事件があった。専門家は多頭飼育が失敗したときの実態を周知し、悲惨な事態を回避するよう呼びかけている。

 個人の限界を超えた多数の動物を飼育することは「多頭飼育崩壊」と呼ばれる。劣悪な環境を作り出し、その環境で飼育すること自体が動物虐待に当たるともいわれている。それだけでなく、近隣住民にも騒音、悪臭、不衛生などの被害をもたらすため、県では平成26年10月から犬猫を10匹以上飼う県民に届け出を義務づけており、違反した場合などには最高3万円の過料も定めている。

 県内で猫の保護活動に取り組む川越市新富町の保護猫カフェ「ねこかつ」の店主、梅田達也さん(44)は「多頭飼いをしてしまう人はアニマルホーダーである可能性が高い」と原因を分析する。アニマルホーダーとは、現実的に飼育不可能な多数の動物を集め、飼育をやめられない状態の人を指す。

 「多頭飼育崩壊」の現場はどうなっているのか。20カ所以上見てきたという梅田さんは「猫の死骸がそのままになっている。共食いが起こっているケースもあり、子猫の頭が転がっていることもある」と語った。死骸が冷蔵庫に入っていることもあるという。

 このような人々はペットが死んでも平気なのか。梅田さんは「猫の頭数が増えて30匹になったとしたら、その課程で何匹か死んだとしても『30匹生き残っている』と考えてしまうのではないか」と分析し、「まずは多くの人に多頭飼育崩壊の実態を知ってもらうことが大切だ」と話す。

 女性の場合は死骸を公園に埋めるという結果になったが、飼育を放棄すれば殺処分に至ってしまうこともある。県は「殺処分ゼロ」を目指しており、「人と動物が共生する社会づくり」の今年度予算を1010万円(前年比330万円増)として、野良猫の不妊・去勢手術の支援や犬猫譲渡制度の広報を強化している。(川上響)