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群馬県、交通弱者の「足」確保へ PT調査で車依存浮き彫り

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群馬県、交通弱者の「足」確保へ PT調査で車依存浮き彫り

 社会生活における移動手段を県内全域で23年ぶりに追跡した「パーソントリップ(PT)調査」結果について、県などの分析から深刻な車依存の実態が徐々にわかってきた。高齢者ら移動手段を持たない「交通弱者」の半数が他の人の車に同乗するなど主体性を欠き、引きこもりを誘発し経済低迷につながりかねないとの指摘も。県では多様な移動手段確保のための実行計画の年度内作成を急ぐ。 

 ◆外出できぬ高齢者

 PT調査は、日常生活で人がどのような目的でどこに行ったかなどの動きを調べるもので、一昨年から2年がかりで行われ、県民の代表的な交通手段などを確認した。前回の平成5年調査は前橋・高崎地区だけだったが、今回は県内全域が対象。調査結果は昨秋から順次公表され、これまで県民の約78%が代表交通手段に車を選び、100メートル未満の距離では4人に1人が車に乗る-など過度の車依存が分かっている。

 その後も分析を重ね、運転免許を持たない65歳以上の高齢者の48・2%が「他の人の車に同乗」することで移動手段を確保し、バス・鉄道の公共交通の利用が3・5%にとどまっていることが、新たに分かった。山間部で車が使えない高齢者が外出する割合は30%前後と、外に出る機会も少なくなっていることも浮き彫りになった。

 また、高齢者だけでなく、県北部の高校生は、約6割が通学のため親などに車で送迎をしてもらう現実もあるという。

 県土整備部の中島聡部長は現状を「高齢者の外出機会低下で経済が低迷したり、高校生の通学手段が限られるなど、問題が深刻化する懸念がある。(県外に出た)若者を呼び戻す可能性も減じかねない。人口減少対策としても大きな課題だ」と重く受け止める。

 ◆制度組み合わせを

 都市計画が専門の前橋工科大学の森田哲夫教授は、交通弱者への対策を、「軸となる公共交通を整備しながら、移動販売や乗り合いタクシーなどの制度を組み合わせることが大事ではないか」と指摘する。

 県は県民の移動手段をどのように確保するか、国や市町村、有識者らと検討を重ねている。今年度末には方向性を「総合交通計画(仮称)」として示す予定で、その後、各市町村と生活圏ごとのバス路線のあり方など、詳細を定めていく。(久保まりな)