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新潟薬科大「長野薬学部」開設断念へ 長野県と上田市、支援見送り

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新潟薬科大「長野薬学部」開設断念へ 長野県と上田市、支援見送り

 新潟薬科大(新潟市)の「長野薬学部(仮称)」開設計画をめぐり、県と建設予定地の上田市は、大学側が要請していた財政支援を実施しない考えを表明し、同計画は事実上、頓挫した。県薬剤師会など関係団体の理解が十分に得られず、開設に向けた環境が整っていないと判断した。同大はこれまで、地元自治体による財政支援を開設条件に挙げており、今月末の理事会で計画の断念を最終決定する。 (三宅真太郎)

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 県は財政支援に当たり、県薬剤師会(松本市)など関係団体の理解を得ることが不可欠としていた。だが、推進派の上田薬剤師会と、消極姿勢をとる県薬剤師会との間で会費支払いに絡む認識の違いが表面化し、「薬剤師会全体で支援できない」(県薬剤師会)状況に陥っていた。

 上田薬剤師会は平成25年度、一般社団法人へ移行したことに伴い、県薬剤師会が会費を徴収する義務は消滅したと主張した。これに対し、県薬剤師会は昨年、上田薬剤師会の対応を不服とし地裁上田支部に提訴。現在、係争中となっている。

 建設用地の地権者は、今年3月を交渉の期限と設定していたため、県は改めて県薬剤師会などに意向を確認。その結果、(1)全国で定員に満たない薬学部が相次いでいる(2)県と市の財政負担が重い-などを理由に、「(計画に)賛成しかねる」との方針を示したという。このため県は1日、上田市の母袋創一市長に報告。市は来週にも同大を訪れて事情を説明する。

 母袋氏は2日の会見で、こうした経緯を踏まえ、「財政支援は厳しい状況になった」と強調。同時に、「薬剤師会の問題で計画が暗礁に乗り上げたことは残念だ」とも語った。阿部守一知事も「上田市の意向を尊重したい」と述べ、市と同様、財政支援を見送る考えを示唆した。

 長野薬学部は、上田駅前のイトーヨーカドー上田店跡地を建設予定地とし、100人の入学定員と600人の総定員を見込んでいた。開設日は平成31年4月としていた。

 大学側は、運営に伴う地域への経済効果を年間12・1億円と算出する一方、建設費は最大80億円と試算。県と上田市にそれぞれ25億円の財政支援を要請していた。

 大学側は産経新聞の取材に、「大学単独での学部設置は難しい。地元の理解がなければ計画を進められない」と語った。最終決定は28日に開催予定の理事会で行われるという。