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南牧の体験型農村レストラン全焼 村の財産…惜しむ声 群馬

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南牧の体験型農村レストラン全焼 村の財産…惜しむ声 群馬

 ■廃校校舎改装 卒業生ら「再利用を」

 南牧村羽沢で22日未明、焼失した体験型農村レストランは旧尾沢中校舎を改築した「村の財産」だった。廃校後の校舎を移住者がレストランに改装、旬の食材を使った石窯ピザ作り体験などで観光客や自然体験に訪れた子供たちから人気を博していた。焼失から3日たった25日も、思い出の場所をしのんで現場を訪れる卒業生らの姿が途切れなかった。

 正式名称は「ぐんま山森自然楽校体験型農村レストラン潺(せせらぎ)」。22日午前0時ごろ、出火。木造2階建ての校舎2棟計900平方メートルが全焼した。原因は捜査中だが、店関係者によると、前日午後9時ごろまで厨房(ちゅうぼう)のガスコンロを使って料理の仕込み作業をしていたという。けが人はいなかった。

 木造の校舎は焼け落ちたが、「更地になってしまう前に」と多くの卒業生らが現場に足を運んでいる。前橋市から来たという男性(80)は「村の財産がなくなって寂しい。同じものはもう作れない」と肩を落とした。

 10月に、旧尾沢中同期生で3年ぶりに同窓会を開く予定だったという富岡市の男性(66)は「レストランで郷土料理のすいとんを食べながら昔話がしたかった。同級生の顔を思い出せる唯一の場所だった」と焼け跡を見つめていた。

 緑色のレトロな校舎は昭和24年に開校、人口減少により63年に閉校した。しかし平成25年、村が校舎を地域団体「ぐんま山森自然楽校」に貸与し、移住者の男性が校舎の一部を改装しレストランを開店した。石窯ピザ作り体験のほか、校庭もキャンプ場として利用され休日や大型連休などに観光客らでにぎわった。

 「校庭にはバレーコートがあった。風が強くてねえ…」。利根中央病院の大塚隆幸院長(60)は懐かしそうに校舎を見渡した。「閉校後もレストランとして利用してくれてうれしかった。燃えてしまったのは残念だが、地域の新たな拠点として、何か建物を建てて再利用してほしい」

 村役場関係者によると、村おこしを目指しレストランなどを経営していた若い移住者たちを、村民は歓迎していた。「日本一の高齢化村」で知られる南牧では、今後も移住者を募集し門戸を開き続ける必要があり、落胆する経営者らをかばう声が強い。

 再建を求める声が多数寄せられる中、村の担当者は「まだ再建という段階まで進んでいないが、跡地は自然体験などに最適な場所だった。再利用も含めて検討していきたい」と話した。