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野迫川村の伝承、本に 元小学校長・中上さん民話集出版「昔の文化に触れて」 奈良

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野迫川村の伝承、本に 元小学校長・中上さん民話集出版「昔の文化に触れて」 奈良

 長年、民話の研究を続けてきた奈良市の元小学校校長、中上武二さん(73)が、奈良にまつわる民話や昔話を集めた『奈良のむかし話』を自費出版した。中上さんは「過疎で行事や文化が消えていく中、長きにわたって語り継がれてきた伝承を形にしたかった」と話している。

 野迫川村出身の中上さんは、平成16年まで38年間、県内の小学校で教鞭(きょうべん)を執った。一方、大学時代に学んだ民俗学をきっかけに、民話研究をライフワークとして取り組み、県内の民俗や民話の調査を行ってきたという。

 2年前、県内に伝わる民話をまとめた『大和の民話』を出版。今昔物語や宇治拾遺物語などの古典から県内の話を編纂(へんさん)したが、子供には難解な言葉も多かったため、子供向けにと『奈良のむかし話』を出版した。「ならコープ」発行の「せいきょう子ども新聞」に昭和58年~平成22年まで連載した約90話から選りすぐった34話を掲載している。

 選んだのは主に、中上さんが子供時代に曾祖母や祖母から聞いた野迫川村に伝わる話。中上さんは「村が雪で覆われる冬は、祖母たちが内職をしていた。その際に、いろりを囲んでお話を何度も聞かせてくれた」と振り返る。

 本は「しあわせになった話」「こわい話」「動植物の話」「こっけいな話」の4つで構成。「舌切スズメ」といった親しみのある話や、たった3行の“だじゃれ”が満載の話など、読みやすい物語を約80ページにわたり紹介している。

 300冊を発刊し、奈良市立中央図書館にも寄贈。「子供が自分で読んだり、読み聞かせてもらったりして昔の文化に触れてほしい」と話していた。