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照明のちらつき、九州各地で発生 九電、1万台緊急対策

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照明のちらつき、九州各地で発生 九電、1万台緊急対策

 ■太陽光発電装置の設定に原因

 太陽光発電が急拡大した九州で、予期せぬ電圧変動で家庭の照明が明暗を繰り返し、ちらつく現象が確認されている。太陽光の発電装置の設定に原因がある。九州電力は電気の品質を安定させようと、発電装置1万台の緊急対策を進める。 

 「電圧フリッカ」と呼ばれ、配電線の電圧の変動により発生する。特に晴天日に起きやすく、照明が点滅する現象が広範囲に2時間程度続く。

 今年は元日の正午から午後2時にかけ、九州7県の複数の地点で発生した。九電には問い合わせが301件入った。このうち鹿児島県が138件と最多で、宮崎県が87件と続いた。

 2月19日にも九州5県で発生した。170件の連絡があった。

 九電はちょうど受験シーズンであるのを重視した。仮に受験会場で照明が点滅すれば、受験生が試験に集中できなくなる事態も想定されるからだ。

 国公立大学入試の2次試験が行われた2月25日以後、九電は宮崎や鹿児島の複数の事業所に高圧発電機車を待機させた。試験会場で電圧フリッカが起きた場合に派遣し、電圧を安定させるためだった。

 電圧フリッカは、珍しい現象ではない。電気炉など電気を大量に使用する機器の周辺では、電圧が不安定になると、発生する。ただ、局所的な現象にとどまるのが一般的で、九州全域を覆うように発生する事例は少ない。

 電気事業連合会や太陽光発電協会などによると、太陽光発電用のパワーコンディショナー(PCS)の設定に起因するという。

 PCSからは、九電の配電網や太陽光パネルにトラブルがないか、検知するための電力(無効電力)が送られる。

 この無効電力が増大すると電圧に変化が生じ、照明のちらつきにつながる。

 平成24年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が導入され、全国各地で太陽光発電が急増した。

 九州でも広範囲な電圧フリッカが確認されだした。26年度までに6回、27年度で18回、確認された。太陽光発電用の設備が多い九州南部で、多発する傾向にある。

 九電は電圧フリッカが起きないよう、発電事業者やPCSのメーカーに対し、無効電力の量を減らすための設定変更を求めた。異常を早期検知するシステム開発も急ぐ。

 春から初夏にかけては電力使用量が減る一方、太陽光の発電量は大きくなる。

 電圧フリッカが発生すると九電はホームページで公表し、利用者にはちらつきが気になる場合、照明の電源を切るといった対応を呼びかける。

 九電配電系統計画グループ長の久冨木護氏は「発生時の対応を強化した。事業者にも丁寧に説明し、設定変更を進めたい」と語る。

 電圧フリッカは、照明以外の家電への異常は確認されていない。感電や停電の心配もない。

 ただ、公益社団法人「日本電気技術者協会」(東京)によると、電圧フリッカが繰り返し起きれば、工場などで使うモーターの回転にムラが出たり、製品の品質が低下しかねない。

 九電はホームページ上で「太陽光発電や機器そのものに問題はない」と説明する。

 それでも、FITにより「太陽光バブル」といえるほど、太陽光発電が急速に普及したことが新たな課題を引き起こした一因になったのは間違いない。

 PCSの「無効電力」ではなく、太陽光発電で生まれた電力そのものが、送配電系統に一度に大量流入することへの危惧もある。

 電力はためられない。発電量と消費量を正確に等しくし、電圧や周波数などの「品質」を維持することに電力会社は全力を挙げる。

 天気や経済活動などからその日の消費量を予想し、発電量を調整する。高度な技術が求められる。

 だが、太陽光発電は、消費量に合わせて発電量を減らせない。夜中に急に消費量が増えたからと、急に発電させることもできない。

 経済産業省の専門家委員会は、九電管内の太陽光発電の接続可能量を817万キロワットと算出した。

 だが、発電開始済みと契約済みの合計で既に957万キロワットに達しており、電力の需給調整が大きな課題となっている。(高瀬真由子)