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三重・桑名の「諸戸徳成邸」一般公開 維持困難で見納めか

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三重・桑名の「諸戸徳成邸」一般公開 維持困難で見納めか

 文化財としての高い価値が認められながら、保存が危ぶまれている桑名市東方の「諸戸徳成邸」が29日、一般公開された。同邸は大正末期から昭和初期にかけ、豪商の諸戸家が造営。現在は子孫が所有しているが維持が困難となり、売却交渉が進められているとされる。一般公開を企画した諸戸徳成邸の保存・活用を考える会は「今回が見納めになるかもしれない」としている。

 同邸は、山林王と呼ばれた諸戸清六の4男、二代清六(1888~1969年)が、桑名市街地の西方の眺望がきく段丘に造営。7638平方メートルの広大な敷地に、主屋、仏間、洋室、茶室など和洋9棟の建物や庭園が残されている。

 子孫は東京で暮らすため近年は空き家となり、平成18年にマンション建設計画が浮上。これを機に行政が調査に乗り出し、24年には文化庁が近代庭園の重要事例と評価、27年1月には世界文化遺産の保護に携わる世界国際記念物遺跡会議(イコモス)の国内委員会が保存の取り組みを促進するよう伊藤徳宇・桑名市長に要望した。

 こうした流れから市は取得を目指したが28年2月、財政難を理由に断念。同邸は宅地開発される公算が大きいとされる。

 一般公開では、建物の玄関前に行列ができるほど大勢の市民らが訪れ、「もったいない」「残したいけど、どうしようもない」といった声が聞かれた。

 市内では、諸戸家が残した「六華苑」と「諸戸氏庭園」がともに国の名勝に指定。同考える会の一級建築士、蒔田英彦さんは「諸戸徳成邸を含め、3カ所が回遊できれば滞在型の観光が実現できたはず。せめて多くの人の心に残ってほしい」と話していた。

 一般公開は30日も午前10時~午後3時に行われる。