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子供の貧困解決へ実証施設 今夏、日本財団が尾道に全国2例目開設 広島

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子供の貧困解決へ実証施設 今夏、日本財団が尾道に全国2例目開設 広島

 貧困世帯の子供は将来も貧困から抜け出しにくいとされる「貧困の連鎖」問題の解決策を探るため、日本財団が全国100カ所に整備を目指す実証施設「家でも学校でもない子どもの第三の居場所」が尾道市に開設される。埼玉県戸田市に続く2例目で、財団と尾道市が11日、発表した。

 支援の必要がある小学校低学年の児童20人程度を平日の放課後、午後9時ごろまでをめどに預かり、温かい夕食や学習の手助け、読書習慣形成の手ほどきなどをする。この夏にオープンする計画で、専門のスタッフ6人を配置。市社会福祉協議会が運営する。

 施設改修などの整備費に約4千万円、当初の運営費として年間約3千万円を見込み、開設から3年間は財団側が全額負担。運営コストの低減をはかりつつ、4年目からの負担は市に移行する。

 財団によると、貧困世帯では他人や社会と関わる能力、判断力や表現力などの「自立するための能力」が“相続”されず、貧困の連鎖を招いている可能性があるとの指摘がある。

 この“相続”は、かつて日本では家庭で機能しない場合でも、地域ぐるみで子供たちを育むコミュニティーが補完してきた。しかし多くの地域でコミュニティーが衰退し、補完機能も消滅しつつある。

 財団は昨年5月、問題を抱えた子供を受け入れ、実施した貧困対策の効果を科学的に検証するプロジェクトに着手。全国の自治体にパートナーとなることを呼びかけているが、施設を利用する必要性が高い児童を“特定”する個人情報の提供や、4年目以降の予算確保などに抵抗感がある自治体もあるとみられ、開設ペースは順調とは言い難い。

 そうした中で、名乗りをあげた尾道市の平谷祐宏市長は、市内で複数の開設を視野に入れていることに言及。「朝食をとらずに登校するなど貧困の問題を抱えた児童がいれば、学校現場は把握している。問題が目の前にあって、解決につながるかもしれない手段が差しのべられているのに行動しないのは理解できない」と話している。