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栗の渋皮むき簡単に 農研機構、新品種「ぽろすけ」育成成功 茨城

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栗の渋皮むき簡単に 農研機構、新品種「ぽろすけ」育成成功 茨城

 つくば市の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、簡単に渋皮がむける栗の新品種「ぽろすけ」の育成に成功した。渋皮がむきやすい「ぽろたん」よりも約1週間早く収穫できるのが特長。2種の栗を栽培することで、渋皮をむきやすい栗の収穫期間が長くなる。栗の栽培で全国第1位を誇る茨城の農家にとって朗報となるか-。(篠崎理)

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 農林水産省によると平成27年度の全国の栗出荷量は1万1800トン。都道府県別では茨城県が29%、愛媛県と熊本県が8%、岐阜県が5%となっており、4県で全国の約5割を占める。

 ◆出荷量は断トツ

 県内の主な栗の産地は、笠間市、かすみがうら市、石岡市などで、全国的には丹波地方(京都、兵庫)や長野・小布施(おぶせ)などが知られるが、出荷量はわずかだ。出荷量では茨城が断トツだが、ブランド化が進まないことや高齢化の進行、渋皮がむきにくいため、消費者の栗離れもあり、消費量は伸び悩んでいる。

 農研機構は平成19年にぽろたんを育成したが、渋皮がむきやすい品種はぽろたんだけで、収穫期が9月上旬から同中旬の2週間程度に限られている。また、栗は同じ品種の花粉では実がつきにくい性質があり、花粉用に別の品種を混ぜて植える必要がある。

 農研機構は、これらの問題を解決するため、ぽろたんとは収穫期は異なるが、開花期が近く、ぽろたんの受粉樹としても利用可能で、渋皮がむきやすい栗を新たに育成することを考えた。

 ぽろすけは、ぽろたん同様、渋皮に3ミリほどの傷を付け、オーブントースターなどで軽く焼くと簡単に渋皮がむける。収穫期は早生栗の代表的品種「丹沢」と同時期の8月下旬から9月上旬。重さは平均で約21グラムとぽろたんよりやや軽い。

 ぽろすけの名前は、渋皮が「ぽろっ」とむけることと、渋皮がむきやすい栗の供給期間の拡大を助けるという意味から命名された。

 ぽろすけは全国で栽培可能だ。ぽろたんと併せて栽培することで、渋皮がむきやすい栗の収穫期間を長くできる。苗木は今年秋から販売される見込みだ。

 ◆消費拡大に期待

 笠間市で栗を栽培する50代男性は「これまで笠間では栗料理や菓子を開発してきたが、渋皮が簡単にむければ、栗そのものを味わってもらえるのではないか」と消費拡大を期待する。

 だが、JA常陸笠間営農経済センター(笠間市)は「栗の食べ方で渋皮を味わう渋皮煮などもあり、従来品と混じった場合、区別が付きにくい。農家の収入増になるかは疑問だ」と慎重な見方を示している。