産経ニュース

山口県と中小企業連合「水産インフラ」ベトナム輸出へ

地方 地方

記事詳細

更新


山口県と中小企業連合「水産インフラ」ベトナム輸出へ

 漁から水産物の加工、流通までの品質管理をパッケージとして売り込む「水産インフラ」の輸出に、山口県が取り組む。食品加工業のフジミツ(同県長門市)の藤田雅史社長が提案し、県が関連企業を集めて研究会を設立した。中小企業連合による水産インフラ輸出は、国内では例がないという。早ければ平成32年度にも、ベトナムからの受注を目指す。 (大森貴弘)

 船上で魚を冷凍保存して港に運び、加工・選別して保冷設備のあるトラックで出荷-。水産インフラはこの一連の鮮度管理システムを指す。コールドチェーンとも呼ばれる。高品質な水産物の流通には欠かせない。

 南シナ海に面するベトナムは、水産資源が豊富だ。半面、冷凍設備がない木造漁船が、船倉いっぱいに魚を取るため、水揚げの時点で魚が傷む。さらに、日よけがあるだけの屋外で魚を選別し、出荷しているため、衛生面や品質面の問題を抱えている。

 フジミツの藤田氏は、ベトナム水産業の課題解決を、商機ととらえた。インフラ輸出の可能性に着目し、昨年6月、県に提案し、現地法人も設立した。

 山口県も動いた。同年10月、水産加工や流通に携わる約20企業・団体の研究会を設置し、水産インフラの輸出構想をまとめた。研究会には、フジミツに加え、強化プラスチック漁船を手がけるニシエフ(下関市)、冷凍装置の古賀産業(同)、物流の松岡(同)なども参加した。

 輸出構想では、漁業が盛んな同国南部のキエンザン省などを対象に、同国政府と省政府への売り込みを進める。

 冷凍設備など鮮度管理機能を持つ漁船や水産加工施設のほか、漁港の高度化工事などの受注を目指す。想定受注額は1カ所約160億円という。

 県と各社はすでに現地視察を実施し、省政府の担当者からニーズの聞き取りもした。

 今年5月には、ベトナム側の担当者が山口県を訪問し、漁港と冷凍・冷蔵設備、輸送方法などを見学するという。

 県は29年度予算に、ベトナムの担当者を招く費用を含め、水産インフラ輸出構想推進事業として300万円を計上した。

 ■強み生かす

 安倍晋三内閣は昨年6月、「日本再興戦略2016」をとりまとめ、成長戦略の柱の一つとしてインフラシステムの輸出拡大を盛り込んだ。

 インフラのパッケージ輸出は、交通や上下水道、電力などさまざまな分野が想定される。

 政府は29年度予算案に、インフラ輸出に新たに取り組む場合の調査事業の補助費用を計上した。

 申請の上で補助対象となれば、現地ニーズや事業の採算性に関する調査を、国の全額負担で実施できる。

 山口県は水産インフラの輸出について、経産省に申請する。対象になれば、1年間で調査結果をまとめ、32年度にも輸出事業を始める計画を立てる。

 県産業戦略部プロジェクト企画室の佐藤茂樹主幹は「県内の企業で出荷に至るまでのあらゆる過程をカバーできる。水産事業という強みを生かして、輸出に取り組みたい」と語った。

                   ◇

 山口県議会2月定例会は17日、一般会計の総額を6809億円とする平成29年度当初予算案などを可決し、閉会した。

 予算では、水産インフラ輸出関連費をはじめ、平成30年の明治維新150年に向けた観光事業5億5千万円などを計上した。