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【震災6年】ヒメマスは持ち帰り解禁 中禅寺湖、来月から

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【震災6年】
ヒメマスは持ち帰り解禁 中禅寺湖、来月から

 “マス釣りの聖地”中禅寺湖(日光市中宮祠)で東日本大震災に伴う福島第1原発事故後、禁止されていたヒメマスの持ち帰りが4月1日、5年ぶりに解除されるのを前に中禅寺湖漁業協同組合は準備を進める。「待ちに待った解禁」と喜ぶ一方、規制が続くニジマスやブラウントラウトの持ち帰りがないよう釣り客への周知と監視強化が課題となる。(伊沢利幸)

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 「展望が見えず、いつまで続くのか不安ばかりがよぎっていたが、やっと解禁だ。改めて中禅寺湖の魅力を発信していきたい」。同組合の鹿間久雄専務理事(66)は“聖地”復活への思いが前に出る。

 震災翌年の平成24年、ヒメマスなどから基準値を超える放射性セシウムが検出され、同年5月以降、中禅寺湖ではワカサギを除いて魚を持ち帰らない「キャッチ&リリース」に限られてきた。ようやくヒメマスが安定して放射性物質濃度の基準値を下回るようになり、今季の釣り解禁後、持ち帰り禁止が解除される。ニジマスやブラウントラウトの放射性物質濃度はヒメマスほど下がっていないため解禁されない。

 中禅寺湖はもともと魚が生息していなかったが、明治時代にマス類の放流が進み、ヒメマスは明治39(1906)年に青森県十和田湖産の稚魚を放流。地元飲食店では食材としても欠かせない観光資源となった。

 中禅寺湖が“マス釣りの聖地”と呼ばれるようになったのは、天然に近づけようとした組合の長年の取り組みがある。成魚は放流せず、同湖産の親から採卵孵化(ふか)した稚魚だけを放流する。乱獲を防ぐため湖の西側は禁漁区としてきた。

 プランクトン、水温、水質がヒメマスに適し、一般の倍以上の全長60センチ、600~700グラムに育つ。肉質は良く、脂が乗っておいしいと北海道や九州からも来る釣り客も多かった。震災前は4~9月の漁期間中、約2万5千人が訪れ、「釣ってよし、見てよし、食べてよし」と人気を集めた。

 震災後、釣り客は5分の1に落ち込んだ。飲食店は養殖ヒメマスで対応した。

 今回の規制解除では、ヒメマス持ち帰りは1日30匹まで、全長15センチ以下は採取できない規則もある。組合はポスターや組合員用ユニホームを製作。監視を強化し、抜き打ちで釣り人のクーラーボックスを確認する調査を初めて実施する方針だ。福田政行組合長(68)は「ヒメマス以外の持ち帰りが確認されれば、再び解禁延期が要請され、元に戻る。一人の違反者も出さないようにしたい」と神経を使う一方、「天然のヒメマスが食べられるインパクトは大きく、経済効果も大きい」と期待を寄せる。

 ヒメマス解禁は岸釣り4月1日、船釣り同20日。いずれも9月19日まで。