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横浜市、一部公立中で英語「5ラウンド制」 学力向上に大きな効果

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横浜市、一部公立中で英語「5ラウンド制」 学力向上に大きな効果

 横浜市は、新年度から1年間で教科書を5回繰り返して学習することで理解を深める「5ラウンド制」などラウンド制の英語教育に関し、一部の一般公立校で導入に乗り出す。ラウンド制は、埼玉県熊谷市や横浜市立の中高一貫校などで導入されているが、英会話力や表現力の向上に一定の効果が出ており、今後、横浜市内の中学校でも導入校が増加する可能性が出てきた。(那須慎一)

 市教育委員会は平成29年度にラウンド制導入に向けた「英語教育協力研究校」として市内中学校を2校、生徒に求められる英語力を達成するための学習目標を設定した指標「CAN-DOリスト」作成の研究を行う中学校を2校の計4校募り、教育効果などの研究を開始する。

 また、市立中川西中学校(都筑区)では、ラウンド制の今春からの導入を予定している。

 ◆切り口変え繰り返し

 5ラウンド制とはどのようなものか。24年度から5ラウンド制を取り入れている中高一貫校「市立南高校付属中学校」(港南区)の英語の授業の場合はこうだ。

 たとえば、1年生では、1巡目に、約2カ月かけて文章に関連する「絵」を見ながらテキスト全文のリスニングだけを実施。2巡目では、約1カ月かけて、聞いた音から単語や短文をばらばらにしたものを正しい文に並べ替える作業を実施する。

 3巡目では、約1カ月半かけて音読を実施し、4巡目では、約2カ月をかけて、一部が穴あきになった本文を音読できるか実施。5巡目では、会話形式の本文のやり取りを参考に、自らの言葉で説明しながら友達に伝える作業を行って、1年の授業を終了するという流れだ。

 また、50分の授業のうち、前半15分でスピーチやディスカッションなど「アウトプット」作業にあて、後半35分で「インプット」作業を行うという。

 ◆統一の計画は未定

 同付属中は新設校だったことから、導入前との単純比較はできないが、市教委によると、「国の英語教育実施状況調査によると、27年度に英検準2級を取得、ないしは同等の能力をもつ人は高校3年生で34・3%にとどまる中で、(同中の)中学3年生の英検準2級以上の取得者が86%に達するなど大きな効果があった」という。

 ラウンド制は、埼玉県熊谷市が市全体で取り組んでいるが、横浜市としては、「あくまで先生一人一人の創意工夫が必要」との考えから、市で統一する計画は現時点ではないとしている。ただ、33年度に予定されている中学校の学習指導要領の改訂時に向けて、同方式を含めモデルとなる授業事例を他の学校に周知していく予定だ。

 市では現在、「小中高英語教育推進プログラム(仮称)」策定に向け、具体的な授業デザインなどを検討し、望ましい英語教育のあり方を模索している。

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【用語解説】5ラウンド制

 1年間の英語授業で、1冊のテキストを5回、切り口を変えて繰り返し学習することで、総合的な英語力の向上を目指す取り組み。横浜市立南高校付属中学校で取り入れているほか、5回繰り返すまでに至らずとも、教科書を複数回繰り返す「ラウンド制」を埼玉県熊谷市などでも導入している。