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医療サポートカー、命つなぐ “救急車未満”に対応 草津総合病院

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医療サポートカー、命つなぐ “救急車未満”に対応 草津総合病院

 救急車を呼ぶほど重篤な症状ではないが、自力で病院に行くのは厳しい。そんな患者のために始めた草津総合病院(草津市矢橋町)の県内唯一の新医療サービス「地域医療サポートカー」が好評だ。今年度の1月末までの出動回数は、運用初年度(平成26年度)の約3倍。病気の早期発見にもつながっているとの声も寄せられ、同病院はさらなるサービスの普及を目指す。

 27日朝、同病院の地域包括ケアシステム課。守山市内のサービス付き高齢者向け住宅から「入居者の女性の体調が数日すぐれない。かかりつけ医から総合病院で診てもらうよう指示を受けた」と依頼が入った。

 20分後には、サポートカーが出動。女性を乗せ、看護師が様子を見守りながら病院に運んだ。診察結果は心疾患。命に別状はないが、女性は入院して経過をみることになった。

 サポートカーは、地域の開業医や老人介護施設などの依頼を受けて出動し、患者を同病院に運ぶ。診察は必要だが緊急性はそれほど高くはないという“救急車未満”の事案を想定している。

 地域の開業医から「重篤な症状ではないが、総合病院で早く診察してもらった方がいい患者も多い。だが、総合病院から遠い地区に住む高齢者などは病院に行くのが大変」との声を受けたことがきっかけだ。大病院から遠い、高齢や体の不調などで自ら病院まで行くのは難しい、などの患者を支援しようとつくられた。

 同課の吉村明浩課長代行は「総合病院と地域の医療機関の連携の少なさを実感し、解決したいと思った」と話す。

 利用日は限定し、地域のかかりつけ医や利用している介護施設の要請などに基づいて出動する。ただ、サポートカーには以前に救急車として利用していた車両を使用。患者を運ぶストレッチャーを始め、酸素ボンベなど看護師が扱える医療機材を搭載し、患者を無事に搬送する態勢を整える。

 26年6月に運用を始め、初年度の利用は55件。その後、地域の開業医、介護士に徐々に浸透し、今や大津市や守山市からも要請がある。今年度は1月末までで168件の出動があった。

 これまで寄せられた出動の44・9%が開業医からの要請。他には、特別養護老人ホーム9・8%▽ケアマネージャー9・5%-などとなっている。

 大津市石山千町の特別養護老人ホーム「千寿の郷」の片山義和施設長(49)はサービス開始時から利用している。「近くには大病院がない。体調を崩した入居者が大事にならずに病気の早期発見、早期治療につながっており、入居者の家族も職員も安心している」と話した。

 27日に利用した守山市内のサービス付き高齢者向け住宅の介護福祉士は「現状、医療機関も介護も職員は手一杯で連携は難しかったが、サポートカーが架け橋となってくれている」と評価する。草津総合病院の吉村課長代行は「救急車は命に別状がある人が利用するもの、と遠慮する人も多い。しかし、比較的病状が落ち着いているときに診療し、入院などで対処すれば、救える命が増える。サービスをもっと普及させたい」と話す。

 サポートカーの運用は平日の午前8時半から午後4時。受診の必要性が高いと判断された場合に出動する。問い合わせ、相談は同病院患者サポートセンター(電)077・516・2511。