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ベトナムと技能実習生育成 全国初、群馬県と覚書 産業活性化に道筋

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ベトナムと技能実習生育成 全国初、群馬県と覚書 産業活性化に道筋

 急増するベトナム人技能実習生らの円滑な人材育成と活用をはかるため、県とベトナム政府が受け入れ・送り出し双方で体制を整備し包括連携を進めることで合意、大沢正明知事がハノイを訪問しベトナム労働省のズアン・マウ・ジェップ副大臣と覚書を締結した。都道府県レベルで同国と労働分野で締結を交わすのは初めて。産業活力の向上とともに失踪事件などの減少にもつなげたい考え。

 実習生の健全育成を図るため県は受け入れ企業や団体に指導・監督を行い、ベトナムは優良人材を派遣するため派遣前の日本語教育推進に努めることなどを定めた。問題点などの情報交換を図ることも確認した。

 受け入れる本県にとっては少子高齢化や人口減などで先細りする労働力を確保し産業活性につなげられるほか、将来的には県内企業のベトナム進出への環境作りが期待できる。ベトナムには技能移転による産業活性化に寄与できる。

 群馬労働局によると、県内で働く外国人労働者は昨年10月末時点で2万4906人と過去最多。

 うちベトナム人は前年比約1・7倍の3410人で国籍別では伸び率が最も高かった。技能実習生も県内5560人中、ベトナム人が1789人と3割以上を占める。だが、実習生失踪などの問題も指摘され、県とベトナムは受け入れ体制を整えることが必要と判断した。

 大沢知事は「課題となっている産業人材の確保・育成と活用が進展し、互いの持続的発展につながると期待している」とコメント。県工業振興課も「双方の産業振興に効果があるのではないか」としている。

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 ■「失踪者増加」指導の徹底を

 満足できる収入、首都圏へのアクセス、安い物価。ベトナム人技術者・技能実習生にとって群馬には好条件がそろう。ベトナム人のまじめな国民性と勤労意欲は、受け入れる側にとっても望ましいものだ。

 だが負の側面も見え隠れする。失踪した実習生が不法滞在者や失踪中の同胞の“ネットワーク”を頼り不法就労に手を染め摘発されるケースが後を絶たない。

 平成24年の県内実習生数は3751人だが、27年には5322人と急増、比例して失踪者も増えている。昨年の失踪者は11月時点で26年の1年分と並ぶ84人。国別では最多だった中国人の失踪者数が減り、ベトナム人が最多となった。技能実習生として働き始め半年以内に失踪するケースが増えている点も見逃せない。

 安価な労働力だけを求める日本人経営者にも大きな責任がある。その点でも覚書締結の意味は重い。技能実習生らが両国の“架け橋”となれるかは行政の指導監督次第で、形骸化すれば犯罪の温床になりかねない。