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県の魚「ムサシトミヨ」生息激減 ザリガニが卵を捕食か 埼玉

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県の魚「ムサシトミヨ」生息激減 ザリガニが卵を捕食か 埼玉

 世界で唯一、熊谷市の元荒川上流部に生息する絶滅危惧種で県の魚「ムサシトミヨ」の推定生息数が、平成23年からの5年で10分の1程度に激減したことが14日、県や同市、保護市民団体などでつくる「ムサシトミヨ保全推進協議会」の昨年の現地調査で判明した。県は、卵を捕食する外敵のアメリカザリガニの増加などが原因になった可能性があるとの見方を示した。(川畑仁志)

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 ムサシトミヨはトゲウオ目トゲウオ科トミヨ属で、体長は3・5~6センチ。県を代表する魚として3年に「県の魚」、23年には「熊谷市の魚」になった。環境省、県のレッドデータブックではそれぞれ、「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い」として「絶滅危惧IA類」で掲載されている。

 県みどり自然課によると、同協議会は約5年に1回、元荒川上流部で産卵が少なく繁殖への影響度が低い1、2月に調査を実施。28年2月の調査では、採捕数が47匹にとどまり、23年2月の前回(177匹)から130匹減少した。

 採捕数などから推定される生息数は28年2345匹で、2万2655匹だった23年の約10分の1に激減した。推定生息数は8年2万4611匹▽14年3万3510匹▽18年1万5757匹-で、過去20年間では最も少なく、1万匹を割り込んだこともなかった。

 生息環境の調査で水質や水温、水深に大きな変化はなかったが、ムサシトミヨが営巣する水草がやや減り、アメリカザリガニのほか、生息域を狭めるタモロコ、ジュズカケハゼなどの魚が増加していたことが判明。同課はこれらが推定生息数の減少につながった可能性があるとみている。

 一方で、ムサシトミヨの寿命が約1年のため、例外的な減少だった恐れがあるとして、同協議会は今年1月に再調査を計画。ただ、調査区間の水草の生育が回復せず、立ち入った場合に生息環境を悪化させるとして中止した。

 同協議会は28年の調査後、生息環境の改善に向け、現地でアメリカザリガニなど外敵の駆除や水草の移植を実施。再調査は30年1、2月を予定しており、県などは関係機関と調整を進めている。