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「ヤード条例」施行から2年 “抜け道”突く不法行為増 千葉

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「ヤード条例」施行から2年 “抜け道”突く不法行為増 千葉

 ■適正化へ再検討探る声

 自動車の解体や保管をする施設で、犯罪の温床になっていると指摘されていた「ヤード」の適正化を図った条例が全国で初めて施行された本県。ヤードの可視化、不法行為の抑止という所期の目的に一定の効果は上がっているものの、条例の“抜け道”を突く新たな不法行為が増えつつあるという。条例施行から間もなく2年。規制の在り方の再検討を探る声も出ており、ヤードの適正化に向けた取り組みは曲がり角に来ているといえそうだ。

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 ■ブローカーが暗躍

 「盗品とは知らなかった」。先月、盗品等有償譲り受けの疑いで県警捜査3課に逮捕されたスリランカ国籍で中古車販売業、モハマド・カエルディーン・モハマド・ジブリー容疑者(42)=八街市榎戸=ら2人は、そう容疑を否認しているという。同課は、ジブリー容疑者らが昨年10月に佐倉市内で、盗品と知りながら時価80万円相当の重機を10万円で買い取ったとみて調べている。

 捜査関係者によれば、条例施行後、ヤードの設置者は、盗品を保管するなどブローカーら中間業者を介在させて摘発を逃れるケースが増えているという。ジブリー容疑者のような中間ブローカーが暗躍し、盗まれた重機をヤードに転売しているとする見立てだ。

 一方、重機の見つかったヤードの設置者は「ジブリー容疑者から買った」と、重機が盗品であった認識がなかったと話しているという。ある捜査員は「盗難車をヤードで見つけても『知らなかった』で済まされてしまう」と悔しがる。条例には抵触しないものの、ヤードを舞台にした違法行為は、ブローカーが介在する形に変容しつつあることが浮かび上がる。

 ■なお全国最多551カ所

 本県は首都圏に至る高速道路があることや港に近いこと、地代が安いことなどから、同条例が施行されてもヤードは減らないとみられていた。実際、県警が把握しているヤードの数は全国最多の551カ所(12月末現在)と、条例施行前(約520カ所)と大差はない。

 高い塀で覆われ、その実態把握が難しかったヤードは、条例施行で確かに状況を捉えやすくなった。県は昨年4~9月までの間、156カ所のヤードに計183回立ち入り調査を実施。現在までに刑事処分を科したケースはない。

 ほとんどのヤードは適法な活動をしており、犯罪の拠点になっているヤードはごく一部とされる。ある捜査関係者は「一部の不法ヤードが他県に移転したことも確認しており、条例の効果は明らか」と話す。

 ただ、別の問題点も浮上している。条例では、届け出が必要となるヤードを「自動車部品の保管等の用に供する施設」と限定しているため、重機やオートバイの部品については適用されず、“抜け道”となっている点だ。

 別の捜査員は「重機は発展途上国で人気がある。今は自動車に代わって重機だ」と指摘。完成製品ではなく部品に解体すると関税が大幅に軽減されるため、主に東南アジアや中東に向けた部品の輸出は減っていないのが実情のようだ。

 県の担当者は「今までは立ち入ることすらできなかった。立ち入りを重ねることが違法行為の抑止にも繋がる」と、条例の威力を強調する。その上で「ヤードで重機やオートバイの被害が増えるなら(条例について)議論となるかもしれない」と指摘。関係機関と連携し、不法ヤードを粘り強く監視していく姿勢に変わりはない。

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【用語解説】ヤード保管適正化条例

 ヤードを「エンジン等の自動車部品の保管等の用に供する施設のうち、その外周の全部又は一部に板塀等が存する施設」と定義。ヤードの実態を把握するため、施設の概要を届け出ることなどを規定し、県職員が立ち入り検査できるようになった。平成27年4月に施行され、違反業者には知事が是正命令を出し、違反した場合は懲役1年以下または罰金50万円以下の罰則がある。