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生誕1300年・井上内親王の悲話知って 五條市が観光マップ製作

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生誕1300年・井上内親王の悲話知って 五條市が観光マップ製作

 聖武天皇の第1皇女で、光仁天皇の皇后となったものの皇位継承争いに巻き込まれ、光仁天皇との間にもうけた他戸(おさべ)親王とともに現在の五條市に幽閉され、亡くなった井上内親王(717~775年)。今年は井上内親王の生誕1300年にあたり、奈良県五條市は「古代の五條の歴史を知ってもらうきっかけになる」と、内親王ゆかりの地としての情報発信の取り組みを進めている。

 井上内親王は聖武天皇の第1皇女で、白壁王(後の光仁天皇)の妃(きさき)となって他戸親王を産み、宝亀元(770)年、白壁王の即位とともに立后した。

 しかし、宝亀3(772)年、「天皇をのろい殺そうとした」という罪をきせられて皇后の位を剥奪(はくだつ)され、他戸親王も皇太子の位を奪われた。翌年には他戸親王とともに現在の五條市に幽閉され、宝亀6(775)年の同じ日に死亡。ともに暗殺されたとの説もある。死後は都で天変地異や疫病流行などが起こり、「井上内親王の祟(たた)り」と恐れられたため、霊を鎮めるために現在の五條市に御霊神社が建立されたという。

 同市では井上内親王生誕1300年にちなみ、市内にある内親王ゆかりの地を紹介するマップ「高貴な母と子、その終焉の地に悲しみの物語を追って-井上内親王と他戸親王」を製作。縦約60センチ、横約30センチの大きさで、霊安寺町の御霊神社(本宮)のほか、井上内親王が幽閉された場所とされる聖(ひじり)神社(同市須恵)、内親王が産み、雷神となった男児を祭る火雷(ほのいかづち)神社(御山町)などを、イラストマップと説明文で紹介している。

 製作にかかわった同市企業観光戦略課の石政英俊さん(26)は「これまでは、井上内親王ゆかりの地を観光の素材として扱っていなかったが、このマップによって、五條市の新しい魅力として発信したい」と話す。マップは同課やJR五条駅前の観光案内所で配布しているほか、郵送での取り寄せも可能。問い合わせは同課(電)0747・22・4001。

 また、御霊神社(本宮)では今年を井上内親王生誕1300年の奉祝年とし、氏子会が井上内親王を題材にした観世流の新作能の公演を10月8日に神社境内で行う計画を進めている。10月21、22日には、市民らで組織する「秋祭り実行委員会」が25年から毎年行っている天平行列で、井上内親王役も登場して五條市内を巡行する予定だ。

 御霊神社の氏子会の井上内親王生誕1300年祭担当責任者で、秋祭り実行委員会メンバーでもある中祥行さん(53)は「市外の人にも、五條が井上内親王のゆかりの地であることを知ってもらえる。また、市民に地域の歴史を知ってもらうことで、郷土愛にもつながるきっかけになると思う」と話した。