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新発田市の新庁舎 にぎわい生み出す「ヨリネスしばた」 新潟

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新発田市の新庁舎 にぎわい生み出す「ヨリネスしばた」 新潟

 新発田城をシンボルとする県北部の城下町、新発田市の中心市街地に新しい市庁舎が4日にオープンした。開放感のある屋根付き広場を施設内に取り入れ、市議会の議場はコンサートや展覧会も催せる多目的ホールにするなど、市民が「ここで時を過ごしたい」と思える工夫を随所に凝らしたのが特長。市はにぎわいをもたらす一つの街に育て、地域が飛躍するバネにしたい考えだ。(市川雄二)

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 新市庁舎は延べ約1万3千平方メートル、地下1階~地上7階建てで、愛称は「ヨリネスしばた」。ヨリには「市民が立ち寄る」「市民と行政の糸をより合わせた太い綱」の意味があり、ネスは新発田らしさを表す方言という。市制施行70年を今年迎え、中央町4丁目から3丁目に移転した。

 設計を担当した建築家で東京芸術大教授のヨコミゾマコト氏(54)は「常に人がいる場所」と、新庁舎が果たすべき役割を説明する。観光客には街歩きの起点、買い物客には休憩所、高校生には自習場所、子育て世代には情報交換の場となることを想定した。

 ◆動く議場の壁

 新庁舎脇の交差点にはかつて新発田藩が法令などを掲げた「高札場(こうさつば)」があり、住民が集まる「札(ふだ)の辻」だった。施設内に抱え込むように設けた大広場は、歴史を継承する「札の辻広場」として復活。電気とガス、上下水道も備え、8日にはイベント「城下町しばた全国雑煮合戦」の会場となり、約2万5千人が訪れた。3階まで吹き抜ける半屋内の構造で冬季は雪よけで覆われるが、春から開放する予定となっている。

 もう一つの売りが4階の議場だ。市議や市幹部の可動式の座席を傍聴席の下に収納すると多目的スペースに変わる。傍聴席の後ろの壁も可動式で、取り払うと庭園を備えたテラスと一体化し結婚式にも使える。付帯設備を動かせる議場は他の自治体にもあるが、市総務課の宮村崇康(たかやす)係長(46)は「壁が動くのは全国初だろう」と胸を張る。

 市は、行政手続きだけではなく「遊びに寄ってもらえる雰囲気づくりにこだわった」(宮村係長)。実際、見学ツアーに訪れた2人連れの女性は「ここでライブを開きたい」と気に入った様子だったという。

 ◆24年越しの大仕事

 二階堂馨市長(64)にとっては、市議会の議長時代から24年越しの大仕事だった。取材に応じ「議長のときに初めて『新庁舎を作ろう』とのろしをあげ、市長の立場で完成をみたのは感慨深い」と語った。

 庁舎の移転を街のにぎわいにつなげたのは、行政施設とアリーナなどが一体化した長岡市の「アオーレ長岡」が県内では先駆的だ。平成24年にオープンし、初年度に152万人が訪れた後も毎年100万人以上が足を運び、JR長岡駅前などの活性化をもたらした。

 人口が約27万人の長岡市に対し、新発田市は約9万9千人にとどまるものの、新庁舎に年間115万人を呼び込むことを目指し、アオーレ長岡の向こうを張る。二階堂市長は「これからの公共施設は利便性よりも街の役割を担うことが重要になる」としている。