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野木の名物イルミ今年で“消灯” 個人で20年超…「やりきった」 栃木

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野木の名物イルミ今年で“消灯” 個人で20年超…「やりきった」 栃木

 野木町友沼の寝具店「こじま寝装」で20年以上続けてきた冬のイルミネーションが今月30日、幕を閉じる。年々飾り付けが派手になり、県内外からの見物客が絶えなかったが、店主の小島三利(みつとし)さん(60)は「体力の限界。やりきった」。すがすがしく達成感を口にした。

 ★気が付けば派手に

 JR野木駅近くの住宅街、国道50号と並行する町道沿いにある店舗兼自宅。二十数年前、「周りが暗いから、つけてみよう」とささやかに始めたイルミネーションは年々、電球を増やしていった。店の顧客ら近所の住民らの声に後押しされて、建物全体を電球で飾る派手なスタイルとなったのは13年前頃という。

 屋根を飾るため、高所作業車の免許を取得。「立体感が出て、家自体が闇の中に浮き出るような感じに見える」。電球は数年前には10万球を超えていたはずだが、「それ以降は数えていない。気が付いたらこうなった」。毎日100~200人が訪れる。地元での評判は広がり、県外からも足を運ぶ見物客も増えた。

 ☆2カ月かけ準備

 点灯は11月下旬~12月末の約1カ月、午後5~8時。スイッチを押せば終わりではない。近所の迷惑にならないよう違法駐車に目を光らせる。周辺を見回り、路上駐車の車は移動してもらうよう声をかける。駐車場は近所のコンビニエンスストア2店が協力、提供している。

 個人でやっているため、設置は2カ月かかる。後片付けも2カ月。「かなり体力を使う。やりたいことをやって家族にも迷惑をかけた。どこかで区切りをつけないと」。チラシなどにもイルミネーションは今年限りと明示した。

 ★はしゃぐ子供たち

 260センチの雪だるまやサンタクロース、アヒル、ブランコなどさまざまな飾りや遊具が店舗を囲む。「子供たちが喜ぶものをそろえた」。半分以上は発光ダイオード(LED)だが、裏側はオレンジ色の電球で温かみのある優しい光で彩られている。

 点灯すると、あちこちから親子連れや近所の住民が集まってきた。土日曜はシャボン玉も出る仕掛けがあり、子供たちは大はしゃぎだ。長女(4)、次女(2)を連れた栃木市の主婦、ピエダード理央さん(36)は「野木町に実家があり、毎年、見に来ている。今年で最後なのは寂しい。これだけすごいイルミネーションはお金を払わないと見られないくらい」と話した。

 ☆喜ばれた震災後

 「あのときはみんなに喜ばれた。やって良かった」と小島さんが振り返るのは東日本大震災後の冬だ。数カ月たっていたが、節電のためにはやめるべきか迷った。「何を言われるか分からない状況だったが、こんなときだからやってほしいという声もあった」。震災後、落ち込んだ気分を明るくしたイルミネーションが間もなく消灯する。