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脱走のライチョウ雌1羽の足取りつかめず 大町山岳博物館

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脱走のライチョウ雌1羽の足取りつかめず 大町山岳博物館

 大町市立大町山岳博物館の付属園から10日に逃げ出した国の特別天然記念物、ニホンライチョウの雌1羽の足取りがつかめないまま、16日で1週間が経過した。市教育委員会は連日、大捜索活動を展開してきたが、見通しが立たず17日からその態勢や規模を大幅に縮小することを決めた。今後は市民らからの情報提供に多くを頼ることになるが、このまま“迷宮入り”を余儀なくされる可能性も捨てきれず、関係者は焦燥の色を濃くしている。

 大町山岳博物館は、環境省などが進めるニホンライチョウの保護増殖事業の一環として、乗鞍岳(長野、岐阜県)で6月に採集された卵から孵化(ふか)した雌雄4羽を飼育してきた。しかし今月10日に飼育員が飼育舎を清掃するため、中にいた雌雄2羽を隣の展示場に移そうと仕切りを開けると、1羽が飛び立って壁面の窓を開閉するひもに接触して窓が開き、2羽とも飛び出したという。

 雄は約5時間後に約450メートル離れた道路脇の草むらにいるところを捕獲した。だが雌は痕跡すら見つからず、市や市教委は10日に約100人、11日は約120人をそれぞれ投入して捜索した。12日以降は約20人が6班に分かれ、人家から離れた場所や山際の斜面なども含めて市内をくまなく捜した。

 16日も職員や市民ボランティアなど約20人が、雌の行方を懸命に追った。高瀬川の河川敷に広がるやぶを捜索した同博物館の矢野孝雄専門員は「市民の関心も高いので、何とか無事に見つかってほしい」と話し、雪の上に残った鳥の足跡などを入念に調べていた。

 17日以降は、同博物館職員で構成する1班(3人以上)が朝と日没前の各1時間半程度、市内を巡回する。24日以降は、住民からの情報をもとに捜索を随時行う予定だ。

 捜索の戦線縮小について、同博物館の鳥羽章人館長は「人工飼育の野鳥の場合、5日から1週間で生命の危険性が高まるが、野生の本能も持っており、自分の力で生きている可能性も十分ある」と説明した。

 市教委は、行方不明の雌の実物大の写真を印刷したA3判のチラシ1万4千枚を作成し、市内の公共施設や金融機関など50施設に掲示したほか、大北地方に配達される新聞の朝刊に折り込み、市民らに情報提供を呼びかけている。同博物館によると、16日までに10件余の情報が寄せられたが、発見につながる手掛かりは得られていない。

 鳥羽館長は「どんな情報でもかまわないので連絡してほしい。市外へ飛んでいっている可能性もあり、周辺自治体からも情報を求めたい」と呼びかける。情報は同博物館(電)0261・22・0211まで。