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昨年に続き不作、2回延期の末… 千葉県産新のり、やっと初競り 食害対策、漁師に負担

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昨年に続き不作、2回延期の末… 千葉県産新のり、やっと初競り 食害対策、漁師に負担

 香りの深い「江戸前のり」として全国的な人気を集める県産新のりの初競りが15日、富津市の県漁連のり共販事業所で行われる。今年は昨年に続き不作で、初競りの開催が2回も延期されたが、一部の漁場で魚や鳥の食害対策を施してからは徐々に収穫量が回復。初競りとしては例年並みの約320万枚を確保した。ただ、ネットなどを設置する食害対策はのり養殖の漁師にとっては大きな負担で、関係者は「漁場いっぱいに食害対策を施すのは大変だ」と頭を悩ませている。

 「回復してきているが、例年に比べればほど遠い。昨年が悪かったので、今年は良くなってほしかったが…」。県内の収穫量の約5割を占める新富津漁協の大草茂筆頭理事は2年続くのりの成長の遅れにこう嘆息した。例年であれば、11月下旬に生産が本格化しているが、不作でピークの時期が遅れている。

 同漁協や同事業所などによると、昨年は海水温が高かったことが不作の原因だった。一方、今年の不作の原因はまだはっきりとは分かっていないが、黒潮が東京湾に流れ込み、アイゴやクロダイといった雑食性の魚がのりの芽を食べてしまう食害が大きな原因の一つだと推測されている。

 のり養殖の漁場周辺で採れたアイゴやクロダイをさばくと、胃の中からのりの芽が確認されているという。海水温が低ければ魚の活動も低下するが、11月中旬まで海水温が高めだったため、被害が大きかったとみられる。カモなどの鳥ものりの芽を食べている可能性もあるという。

 大草筆頭理事は食害対策を施したことで「光が見えてきた」とする一方で、「昭和57年に病害で不作だったが、その後約30年間は順調だった。昨年のようにひどい年にはならないと思っていたのに」と肩を落とした。

 不作の影響は、家庭の食卓にも及んでいる。当初11月24日に予定されていた今年の初競りは12月5日に延期。不作が長引いたため、さらに15日に延期され、新のりが一般の市場に出回らない状況が続いていた。のり養殖の関係者の間では宮城県産や九州産ののりに顧客が流れることへの懸念も広がるが、15日の初競りには県内8漁協が出品し、同事業所の担当者は「これから順調になっていく見通しだ」と巻き返しに期待した。

 また、2年続いた不作に、関係者の間では早くも来シーズンに向けて対策の必要性がささやかれている。同事業所の担当者は「食害対策を施した成果は出ている。来シーズンは、より多くの漁師が早い段階から魚や鳥を防ぐネットなどの設置するよう働きかけたい」と説明。しかし、あるのり漁師は「確かに効果はあるが、ほかの要因も考えられるので確実に伸びるというわけではない。防御用のネットを設置する作業やコストも大変だ」とつぶやいた。