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奈良産「ライスビール」誕生へ 製薬会社と二足のわらじ、市橋さんが挑戦

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奈良産「ライスビール」誕生へ 製薬会社と二足のわらじ、市橋さんが挑戦

 製薬会社で勤務するかたわら、昨年生駒市でビール販売店「ゴールデンラビットビール」を創業した市橋健さん(36)が、地元産のコメを原料にした「ライスビール」づくりに取り組んでいる。現在は製造を外部に委託しているが、市橋さんは「将来は原料生産も製造も地元でやり、奈良の魅力を発信したい」と語る。

 市橋さんは製薬会社で長年、スキンケアなどの液体商品の製造に携わっている。もともと酒好きで、奈良で地ビールがつくれないかと考えていたとき、自社の設備とビール製造設備のメーカーが同じであることに気づいた。「自分でもビールがつくれるのではないか」。会社側も、本来業務と地ビールづくりという“二足のわらじ”を推奨。市橋さんはダブルワークでの起業を決断した。

 店名は、なでると願いがかなうといわれる、大神(おおみわ)神社(桜井市)の「なでうさぎ」から、ビールを飲む人の幸せを願って付けた。

 最初に手がけたのは、日本人好みのすっきりした黄金色のピルスナービール。酒発祥の地・奈良にちなみ、ピルスナー発祥の地・チェコ産のホップを使用。「大和」にかかる枕詞(まくらことば)から「そらみつ」と名付け、昨年末に発売した。今年夏には、アメリカ産のホップを使い、コクと香りがしっかりとした赤いビール(レッドエール)「あをによし」も新たに売り出した。

 「もっと奈良の魅力を知ってもらえるビールをつくりたい」。さらなる奈良の魅力発信として注目したのが、地元産のコメ「ひのひかり」を使ったライスビールづくりだった。「食味ランクで連続で最高の特Aに選ばれるほど優秀なのに、あまり知られていない」(市橋さん)ことに危機感をもったという。知人の農家とともにコメづくりを進め、インターネット上で資金集めを開始。その結果、163人から目標額80万円の1・6倍にあたる、約130万円が集まった。

 出資者は県内在住者が最も多かったが、2番目は東京だったという。「奈良へのあこがれを感じる人が多いのかもしれない」と思い、いい加減なビールはつくれないと、改めて思いを強くした。

 ひのひかりは順調に育ち、稲刈りも終えた。年明けには奈良産ひのひかりのライスビールが誕生する予定だ。

 今秋以降は「そらみつ」「あをによし」用の原料となる二条大麦を地元で初めて作付けし、育てるという。ビールづくりや営業は、製薬会社勤務後や休日を使ってこなしている。「楽ではないけれど、やはり奈良とビールづくりが好きだからでしょう」。市橋さんの夢は進行中だ。

 「そらみつ」「あをによし」は各330ミリリットル入り580円(本体価格)。売り上げの一部は子供を支援するNPO法人に寄付される。問い合わせはゴールデンラビットビール(電)0743・75・1800。