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タイ国王死去 「心の中に」「国が心配」 留学生ら冥福祈り涙 千葉

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タイ国王死去 「心の中に」「国が心配」 留学生ら冥福祈り涙 千葉

 タイのプミポン国王の悲報で県内にも悲しみは広まり、一夜明けた14日、タイにゆかりの深い施設などでは記帳台が設けられるなどし弔問の人が列を作った。県内にはタイからの留学生も多く、その人柄をしのんだ。

 成田市中野にあるタイの寺院「ワットパクナム日本別院」は、日本で初めて建立されたタイの寺院としての格式を持ち、在日タイ人の交流拠点の一つ。この日、お堂に国王の写真を飾った祭壇が設けられ、参詣に訪れたタイ人約20人や僧侶が手を合わせ国王の死を悼んだ。お堂には僧侶の読経と参詣客のすすり泣く声が響いた。

 松戸市のマッサージ師、吉田パーパーポンさん(50)は「まだ心の整理がついていない。元気になってとずっとお願いしていたのに、信じられないという気持ち」と悲しんだ。

 「身分など関係なく、子供を見守るように国民全員を愛してくれていた」と振り返るのは、茨城県石岡市から参詣にきた工場勤務のナノク・ポンニパさん(42)。「悲しい気持ちでいっぱいになり言葉にならない。この先、国がどうなるのか心配だ」と、政情が不安定な母国の今後を心配していた。

 千葉市美浜区の神田外語大学では、キャンパス内のサーラー(休憩所)で「国王追悼の会」が開かれた。タイからの留学生や、タイ語を学ぶ学生ら数十人が集まり国王の冥福(めいふく)を祈った。国王の肖像画の前で、ハンカチで涙をぬぐう学生もみられた。サーラーには記帳台も据えられており、約1カ月受け付ける。

 同学でタイ語を教えるポーンシー・ライト准教授(57)は「国民は皆、第2の父と敬愛している。子供から老人まで広く愛されている」。タイ人留学生、ジャンタラーマット・タンヤーレットさん(21)は「タイのために尽くされた方。国民の心の中にずっと国王はおられます」。

 約10年間タイで過ごしたという外国語学部2年でタイ語を学ぶ大山勇気さん(23)は「タイではどの家庭にも国王の写真や絵がある。国民の心のよりどころ。私自身も子供のころから尊敬している」と話した。

 国王の訃報(ふほう)は、県の観光施策にも影響を及ぼしそうだ。県は観光事業者らとともに11月初旬に開催されるタイ国内最大の見本市「タイ国際旅行博」に参加し、PRする予定だったが、プミポン国王の死去で開催延期が決定。タイ国内の自粛ムードが長引けば、冬場にシーズンが始まるイチゴ狩りなど県内観光にも影響が出る可能性がある。県の担当者は「影響の予測は難しい。情報収集していきたい」と説明する。

 森田健作知事は平成24年8月と27年9月にトップセールスでタイを訪問している。プミポン国王の次女、シリントーン王女は俳優時代の森田知事が主演した青春ドラマを見ており、森田知事のファンだったことから、2回拝謁している。

 トップセールス以外でも県は特産品の販路拡大や観光客誘致に注力してきた。観光庁の統計によると、タイ人観光客の県内の延べ宿泊数は、24年の4万9310人から27年には17万6580人に増え、県産ナシの輸出量も増加した。

 森田知事は「これまでの訪問でタイ政府関係者や国民の皆さまと親交を深めてきた。タイの皆さまの悲しみはいかばかりかと推察します」などとするコメントを発表し、哀悼の意を示した。