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紅茶成分でノロウイルス抑制 静岡県環境研など発見 実用化に取り組み

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紅茶成分でノロウイルス抑制 静岡県環境研など発見 実用化に取り組み

 県環境衛生科学研究所などは、紅茶に含まれる成分の一つ「テアフラビン類」に、食中毒の原因となるノロウイルスの感染を抑える作用があることを発見した。テアフラビン類に抗ウイルス作用を発見したのは世界初といい、国際学術誌への論文掲載も決まっている。植物由来の成分であることから、ノロウイルスの感染拡大対策のポイントである手指の消毒に安心して使用でき、県内企業が消毒薬としての実用化・製品化に取り組んでいる。

 この研究は、同研究所とファルマバレーセンター、県立大創薬探索センターの3機関が協力して行われ、6日、成果が発表された。

 ノロウイルス患者は、県内で過去5年間に発生した食中毒患者の8割以上を占める。感染力が強く、感染者の手指や汚染された食品などを介して瞬時に拡大する。感染拡大防止には消毒の徹底が重要だが、現在推奨されている高温での加熱殺菌や次亜塩素酸ナトリウムによる消毒方法は、手指など人体には使用できない。このため、手指にも使える新しい消毒方法の確立が求められていた。

 3機関は平成23年度から、ノロウイルスの感染抑制作用を持つ化合物を探し出す研究を開始。5年間かけて、同研究所が管理する約12万個の化合物の中から、茶ポリフェノールの一つである「テアフラビン類」を見つけ出した。

 実験を担当した同研究所の大場舞主任(30)はまず、12万の化合物を、その性質から約2千の候補に絞り込んだ。そして、来る日も来る日も培養した細胞にウイルス液を接種。ひたすら作用の出現を調べる実験を繰り返した。「もう見つからないかもしれないと何度も思った。テアフラビン類が作用していることに気付いたときは、半信半疑だった」と振り返った。

 くしくも、本県の特産品である緑茶を発酵させてできる紅茶の成分から、ノロウイルスを抑える作用を持つ新しい化合物が見つかった。同研究所の岡山英光所長は、「塩素臭が強く飲食店などで使いづらい次亜塩素酸ナトリウムに代わる新たな消毒剤を見つけたいとの思いで、研究に取り組んできた。お茶の生産が盛んな静岡県で発見されたテアフラビン類には、手に使える優しい消毒剤として世の中に出ていってほしい」と、今後の製品化に期待していた。