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国宝書籍、足利学校で初公開 展示施設を整備、10月22日から 栃木

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国宝書籍、足利学校で初公開 展示施設を整備、10月22日から 栃木

 史跡足利学校(足利市昌平町)で所蔵する国宝書籍「尚書(しょうしょ)正義(せいぎ)」など全4種が10月22~30日、足利学校で開かれる「足利学校国宝展」で初めて一般公開される。日本遺産認定でようやく展示施設が整備され、公開の運びとなった。

 国宝書籍は4種77冊。足利学校を再興した関東管領・上杉憲実(のりざね)が永享11(1439)年、「尚書正義」と「礼記(らいき)正義」を、その後、上杉憲忠(のりただ)が「周易(しゅうえき)注疏(ちゅうそ)」、北条氏政が「文選(もんぜん)」をそれぞれ寄進した。中国の詩文や易占い、儀礼などが記載され、昭和27年以降、順次国宝に指定された。

 同書籍は当時から儒学の貴重書として庠主(しょうしゅ)(校長)が厳重管理し、門外不出。儒学者らの求めに応じ閲覧が許されるのみだったという。江戸時代には8代将軍・徳川吉宗が江戸に取り寄せたほか、尾張藩主・徳川義直、儒学者・林羅山、幕末の志士・吉田松陰ら錚々(そうそう)たる面々が足利学校を訪れている。

 書籍は天正19(1591)年、豊臣秀次の命令で京都に持ち去られたが、文禄4(1595)年、徳川家康が還付。明治初めの混乱期には散逸の危機に直面したが、旧足利藩士で文人画家の田崎草雲(そううん)らの尽力で保護された経緯がある。

 足利学校は大正10(1921)年、国史跡に指定され、その後、方丈(ほうじょう)など主要建物が江戸時代の様式で復元されたが、国宝書籍を展示するための防火策が施された施設はなく、これまで足利市立美術館(同市通)で3回展示されただけだった。

 昨年4月の日本遺産認定を受け、市は文化庁などと協議し、学校内の遺跡図書館1階展示室に特製ガラスケース4基、防犯カメラ、空調など整備した。事業費は約600万円。

 和泉聡市長は「先人の知の記憶に触れ、足利学校の理解を深めてもらいたい」と話している。

 期間中、22日午前10時半から、方丈で元国立公文書館内閣文庫長の長沢孝三氏の講演会を開催。26、27日は首都圏からの誘客を狙い、東武伊勢崎線北千住駅発着でモニターツアーも計画されている。 (川岸等)