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被災者の味方マンホールトイレ 地震発生後の熊本市で活躍

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被災者の味方マンホールトイレ 地震発生後の熊本市で活躍

熊本市立下益城城南中に開設されたマンホールトイレ。車いすでも利用しやすいと好評だった 熊本市立下益城城南中に開設されたマンホールトイレ。車いすでも利用しやすいと好評だった

 熊本地震の発生後、熊本市が避難所に開設した「マンホールトイレ」が、国土交通省の「循環のみち下水道賞」を受賞した。下水管に直結したマンホールの上に、簡易型トイレを取り付けることで、避難所の「トイレ問題」を解消した。今後の災害に備えて、市は公共施設などでの増設を検討する。(南九州支局 谷田智恒)

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 大地震などで甚大な被害に見舞われた被災地では、避難者数に対してトイレがが不足することに加え、断水によってトイレ環境が劣悪になるケースが多く見られる。

 飲料水は、給水車なども使って比較的早期に搬送されるが、トイレに流す水までは、発生初期は手が回らないことが多い。

 こうしたトイレ問題に備え、全国では、簡易トイレの備蓄に乗り出す自治体も増えている。それでも、避難生活が長期化する場合、より容量の大きなトイレ確保が必要となる。

 マンホールトイレは、公共の下水道管につながったマンホールを整備する。その上に組み立て式の簡易トイレと、覆いのテントを設置する。

 下水道管に直結することで、悪臭など衛生面の問題も少ない。国交省は平成21年から、災害時トイレとして整備を促してきた。

 熊本市も25年3月、下水道総合地震対策計画を策定し、26年度からマンホールトイレの整備に着手した。

 災害時の避難所となる市内の38中学校に、1校あたり5基のマンホールトイレを整備する計画だった。今年4月までに、4校20基の整備が完了していた。

 同月、熊本地震が発生した。市内全域が断水となり、避難所が開設されても、トイレ用水の供給が断たれた。マンホールがすでに完成していた白川、京陵(いずれも中央区)、西原(東区)、下益城城南(南区)の4中学校では、地震後15~16日に相次いでマンホールトイレが開設された。

 設置と点検、撤去は市職員が実施したが、設置後はボランティアや学校関係者らが運営に協力した。トイレ用水として学校のプールの水を使った。

 簡易型とはいえ、洋式トイレで段差もなく、車いすでも利用しやすかった。好評で、水道復旧後も使用を続ける避難所もあった。

 こうした取り組みが「被災者の生活環境の改善に貢献した」として高く評価され、国土交通省の「循環のみち下水道賞」に選ばれた。今月9日、東京・霞が関の国交省で表彰式が開かれ、永目工嗣・熊本市上下水道事業管理者に表彰状が贈られた。

 有用性が確認されたことで、市はマンホールトイレのさらなる整備を急ぐ。33年までに市内38中学校でマンホールトイレ190基の整備を完了させ、避難所に指定されている小学校や公共施設への増設も検討する。

 市上下水道局管路維持課長の白岩武樹氏(55)は「利用者に好評だった。計画を前倒しして整備を進める。今後は熊本地震で使用した実績と経験を踏まえ、マンホールトイレの運営について市民にPRしていきたい」と述べた。